ちいさなしまのおはなし
おもちゃの町
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(アタシがしっかりしないと……)
最年少の大輔達が今縋っているのは、頼りにしているのはミミなのだ。
ミミが不安でたまらないとの同じく、大輔達もいつも頼っている人達がいなくて、不安なのだ。
「さ、行きましょう。太一さん達がここに来てるかどうか、確かめなきゃ」
『そうね』
務めて明るく振る舞いながら、ミミは元気のない最年少達を促して、おもちゃの町に足を踏み入れる。
ミミと合流する前に、地上に住んでいるヌメモン達と良好な関係を結べた大輔達は、太一達を探すのをヌメモン達に手伝ってもらっている。
もしかしたら、何人かヌメモン達が見つけて、このおもちゃの町に向かわせてくれているかもしれない。
ううん、もう既におもちゃの町に来ているかもしれない。
そうすれば、その誰かと合流して、もんざえモンの異変を知らせて、一緒に調査してくれるかもしれない。
希望は、まだある。
しかし、ミミの観測的希望は、脆くも儚く崩れ去ることになる。
聞いていると体が自然と踊り出してしまいそうな、楽しい音楽が聞こえてくる。
小さい空砲があちこちから聞こえ、もんざえモンの顔の風船が風に乗って空へ運ばれていくのが見えた。
そこは、ミニチュアのお家のように色とりどりに彩られた1つの街だった。
こんな時でなければきっとミミ達は真っ先にはしゃぎまわっていただろう。
しかしこんなにも楽しそうな雰囲気を醸し出しているのに、客らしい客の影は1つも見当たらなかった。
太一さん達何処かな、まだ来てないのかな、ってミミに引っ付いていた最年少達は、ふと金属のような音を聞きつけてそちらを振り返った。
あ!って声を出したのは、ヒカリだった。
「お兄ちゃん!」
大好きなお兄ちゃんが、向こうから走ってくるのが見えたヒカリは、駆け付けようとした。
が、2、3歩進んだところでその足はピタリと止まってしまった。
どうしたの、ってミミが問おうとしたら、走ってきた太一はミミ達に見向きもせずに通り過ぎてしまったのである。
え、って目の前を通り過ぎて行った太一を見送ったミミとパルモンは、太一の後をゼンマイ式の車が追っているのを目撃した。
何か、ぶつぶつと呟いていたのだが、あれは一体……?
「空さん!」
今度は大輔が叫ぶ。
別の方角からやってきた空は、やはり太一と同じように何かをぶつぶつと呟きながら、ふらふらとした足取りで走ってきた。
シンバルを叩くサルのおもちゃが、空を追い立てるようにシンバルを忙しなく叩いていた。
ざ、ざ、ざ、という何かが一斉に動く音が、更に別の方角から聞こえる。
光子郎が、両手をパタパタさせながらたくさんの兵隊のおもちゃに追いかけられていた。
「お、お兄ちゃん!?」
賢が悲鳴を上げる。
光子郎が走り去って
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