ちいさなしまのおはなし
おもちゃの町
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かない。
背後から迫る爆音に恐怖しながらも、それでもミミは走った。
自分が何とかしなければ、太一達は元に戻らない。
ヒカリと賢の涙を、自分では拭ってやることができないのだ。
「きゃあっ!!」
『っ、ミミ!!』
逃げることに必死になっていたせいか、足元がお留守になっていたミミは、石畳の溝につま先をひっかけ、派手に転倒してしまった。
ずざー、とスライディングのような形で転んだために、ミミの剥きだしになっている腕に痛みが走る。
見れば、少し擦り?けて血が滲み出ていた。
『ごゆっくりお楽しみください……』
痛い、と嘆いている暇はない。
立ち上る砂煙の向こうから、もんざえモンの声が聞こえてくる。
逃げなければ、とミミは立ち上がろうとしたが、転んだ時に足も怪我をしたのか、痛みが走って上手く立ち上がれなかった。
このままではミミまで感情を消されて、“おもちゃのおもちゃ”にされてしまう。
パルモンはミミを守ろうと、彼女の前に出た。
『お姉ちゃーん!助けにきたぜぇー!』
その時だった。
先ほどミミを助けてくれたヌメモンが、何処からともなく飛び出してきたのだ。
ぎょっとなるミミとパルモンを尻目に、次から次へと現れるヌメモンは、砂煙の向こうにいるもんざえモンに、果敢に攻めていった。
自分の排泄物を、自分よりも身体の大きな相手に躊躇なく投げつけ、挑発する。
もんざえモンは、突如として現れたヌメモンの大群にきょとんとしながらも、投げつけられ、べっちょりとはりついた排泄物に怒りを隠さない。
次々現れてまとわりついてくるヌメモンを、腕をぶん回して薙ぎ払い、足で踏みつぶす。
軟体であるヌメモンは振り払われても大したダメージにならず、踏みつぶされてもすぐに復活して、再びまとわりついていた。
どうして、ミミもパルモンも開いた口が塞がらない。
確かにさっきは大輔達に頼まれたから、助けてくれた。
ここに来ればいいって、他にも仲間がはぐれていないか探してくれるって言ってくれた。
知性も教養もなく、デジモン界の嫌われ者なんてレッテルを張られて、暗くてジメジメしたところに追いやられて暮らしているのに、排泄物を投げることしかできないのに、ヌメモンは完全体のもんざえモン相手に怯むどころか猛攻を繰り返している。
ミミを守ろうと、奮闘している。
──ミミを守らなくてはならないのは、自分なのに
ミミのデジヴァイスから光が漏れたのは、その時だった。
『パルモン進化ー!!』
漏れた光は一筋の線となり、パルモンに真っすぐ伸びていく。
光がパルモンを包み込み、パルモンはくるくると回り出し大きな光になった。
『トゲモン!』
それは、大きなサボテンだった。
目と口を模した黒い穴が3つ。
両手にはボク
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