第二部
第二章 〜対連合軍〜
百 〜シ水関の攻防〜
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れる訳ではないからな」
「曹操さんや孫策さんの陣は警戒が厳しく、斥候さん達もなかなか近づけないみたいです」
「せやけど、敵が動かへん限りはどうしようもないしなぁ」
ぼやく霞。
「先陣が曹操さん、孫策さんでは挑発も無意味ですしね……。一応やってみましたが、曹操さんの軍で僅かに反応があったぐらいでして」
朱里が苦笑する。
その反応が誰なのか……言わずともわかる話だが。
頭を抱える華琳の様子が、目に浮かぶようだ。
「疾風。雪蓮らの動向はまだ掴めぬのか?」
「はい。朱里が申した通り、陣に忍び込むのも容易ではありませぬ。……私自ら、探ってみましょうか?」
「いや、ならぬ。そこまで警戒を厳にしている以上、無理をする事もあるまい」
「しかし、孫策殿の動向……私も気になります」
「その心意気だけで良い。万が一の事があらば、皆の士気にも関わる」
「……は」
やや悔しげな疾風。
だが、釘を刺しておけば命に背いてまで動く事はせぬ筈だ。
「朱里、雛里。雪蓮の動き、どう見るか?」
二人は顔を見合わせてから、小さく頷き合った。
「推測ですけど、申し上げても宜しいでしょうか?」
「構わぬ。思うところを申せ」
「はい。雛里ちゃん」
「うん。……多分ですけど、孫策さんは陣の中にはいらっしゃらないかと」
「んなアホな。せやったら、あないに警戒する必要あらへんやろ?」
「霞さんがそう思われるのはごもっともです。そう思わせるのが狙い、私はそう思います」
雛里は真顔でそう答えた。
「つまり、あれは囮という訳か。別行動を取るならば不可欠の筈の明命まで使って」
「そうです、疾風さん。そこまでする必要がある、何かをしようとしているのかと」
「……ただ、それが何なのかはわかりません。このシ水関への奇襲はもう不可能ですし、回り込んで洛陽を急襲される事には風さんが備えていますし」
「厄介やな、ホンマ。賈駆っちやねねにも知らせた方がええんちゃうか?」
「うむ。念のためだ、手配りはしておけ」
「御意です」
雪蓮め、何を企んでいるのか。
私はどう動くべきか……。
「失礼します。敵が、動き始めました!」
息を切らせて、兵が駆け込んできた。
「ようやっとか」
「では、手筈通りに」
霞と疾風が飛び出していく。
さて、連合軍はどう出るかな?
「朱里、雛里。参るぞ」
「はわわ、わ、わかりましゅた!」
「あわわ、ぎ、御意れす!」
……何故に、噛む必要があるのか。
こればかりは、個性と割り切るよりないのやも知れぬが。
城壁に登ると、攻め寄せる敵が一望出来た。
「土方様! あれを!」
兵が指し示す先に視線を向けると、そこには見慣れぬ兵器が用意されていた。
「櫓、でしょうか」
「確かに、高さはありますけ
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