暁 〜小説投稿サイト〜
ナイン・レコード
ちいさなしまのおはなし
地下水道にて
[11/16]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
。だからきっとヌメモンは、僕達じゃなくて、お兄ちゃん達の方を追いかけたんだ」
「……つまり?」
「僕達があそこまで歩いていた時まで、何個か大きな穴があったでしょ?多分お兄ちゃん達はその大きな穴に逃げてったんだ。でも僕達はそれに気づかずに通り過ぎちゃって、だからお兄ちゃん達とはぐれちゃったんだと思う」

賢が言いたいのはこうだ。
自分達の周りにヌメモンが投げた排泄物がないのは、途中にあった排水溝へ逃げ込んだ太一達上級生の姿しか見えておらず、賢達を追いかけなかったからだ。
上級生達を追ったヌメモンは、薄暗い地下水道の暗闇の中へ溶けてしまった大輔達に気づくことなく、太一達を追っていった。
つまり、ヌメモンが投げつけてべっちゃりと天井やら壁やらに張り付いた排泄物が、途切れている辺りまで戻ればいいのだ。

『そっかー!ケン、頭いいね!』

パタモンが目をキラキラさせながら、賢を見やる。
えへへ、って賢は照れ臭そうに笑った。
賢の言葉によって、だんだんと落ち着いて、冷静さを取り戻した大輔とヒカリは、そっかぁって思った。
はぐれちゃったのだから、はぐれた場所まで戻ればいいのだ。
そう思ったら、いてもたってもいられない。
大輔達は急いで来た道を戻った。
またヌメモン達に追いかけられてはたまらない。
追い払うのは簡単だろうが、飛び交う排泄物の中を突っ込む勇気までは持ち合わせていないし、パタモンとプロットモンは遠距離の技を持っているからまだしも、ブイモンは格闘技中心の接近戦タイプだ。
おまけに誰かに触られるのがダメという弱点付き。
そうでなくともヌメモンに近づいてパンチを食らわせるのは断固拒否するだろうけども。



ほどなくして、見るのも憚られるような光景が目に飛び込んでくる。
天井から壁から床から至るところに張り付いている、ピンク色の排泄物。
特有の臭いが辺りに充満しており、3人と3体の顔は真っ青で、歪んでいた。
こんな悍ましい臭いが充満していては、太一達の匂いを追って探すことなどできやしない。
幸い太一達が逃げ込んだであろう横穴がすぐそばにあったので、みんなで鼻を摘まんで、ピンクの排泄物を避けながら排水溝へ入り込んだ。
そこも天井や地面がピンク色の排泄物塗れになっており、天井に張り付いている排泄物が今にも落ちそうになっているから、急いで通り過ぎる。
直後に背後からべちょりと言う音がしたけれども、聞こえないふり。
やがて整備されていた排水溝はいつの間にか岩肌のトンネルに様変わりしており、曲がりくねった薄暗い道の向こうから光の筋が手を差し伸べてきた。
排泄物はまだあちこちに張り付いている。

「……ぷはぁ!」

数秒しないうちに見えてきた出口に、大輔達の足が早まる。
ぴょん、と飛び出してさわやかな風を感
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ