暁 〜小説投稿サイト〜
レーヴァティン
第百六十五話 視察その六

[8]前話 [2]次話
「そこから実りが生じるし遊びのない世はどうだ」
「面白くない」
「息苦しいものになりますね」
「どうしてもです」
「そうなりますね」
「そうなるからだ」
 だからだというのだ。
「俺としてはな」
「そちらもですね」
「よしとされますね」
「遊びについても」
「そうなのですね」
「息苦しい世は暗くなり」
 そうなってしまってというのだ。
「何も育たない、だからだ」
「では、ですね」
「民には働きかつですね」
「遊んでもらう」
「そして銭を生み使ってもらいますか」
「そういうことだ、あれをするなこれをするなとはな」
 その様にとは言わない。
「俺は言わない、誰もが禅宗の僧ではない」
「修行と学問に生きる」
「生きるのはそれだけである」
「そうした暮らしは、ですね」
「出来ないし国の者全てがそうして暮らせばな」
 極端な禁欲の中でというのだ。
「何も生まれない」
「ただ息苦しいだけで」
「それだけで、ですね」
「何もならないですか」
「禁欲に過ぎると」
「踊りも歌も駄目でだ」
 そしてというのだ。
「酒も女も。食いものもあれは駄目これは駄目ではな」
「娯楽も駄目で」
「とかく何でも禁じるなら」
「それならば」
「確かに面白くも何ともないな」
 こう幕臣達に話した。
「詰まらなく息苦しいな」
「確かに」
「そうした世ではです」
「何にもなりません」
「どうしても」
「そうだ、そうした国ではだ」
 まさにというのだ。
「幾ら強くともな」
「それでもですね」
「何も生み出さず」
「金も回らない」
「そうなるのですね」
「だからだ、無駄遣いはしないことだが」
 それでもというのだ。
「いいな」
「はい、それでは」
「それではですね」
「劇や落語もですね」
「存分にさせますね」
「そして帯や簪といったものもな」
 それもというのだ。
「いいものをだ」
「作らせてますか」
「職人達に」
「そうさせますか」
「自由にな、そして売らせてな」
 そうしてというのだ。
「儲けてもらう、そして儲けた銭でな」
「遊んでもらう」
「そして金を動かしてもらう」
「そうしてもらうのですね」
「そうだ、銭は大いに使って回してこそだ」
 まさにというのだ。
「いいな、では贅沢だと何かを禁じることはな」
「しない」
「そうされていきますね」
「これからも」
「その様にする、そしてだ」
 英雄はさらに話した。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ