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俺様勇者と武闘家日記
第1部
アッサラーム〜イシス
イシスの女王
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頭の中にはその魔物の知識が入っているのか、戦い方をシミュレーションしているようだ。正直火炎ムカデ一匹に手こずってる身としては、戦士二人が逃げ出すほどの魔物を相手する自信なんて全くないのだけれど、さすがに声に出しては言えなかった。
「内部の地図なんかは……ないだろうな」
「はい。先ほど言いましたが、入り口までしか行けませんでした。ただ、入り口から奥までずっと狭い一本道の通路になってましたね。隘路とも言いますか。ともかく侵入者を足止めするには適した地形にはなってます」
「なるほどな。ちなみにどんな罠や仕掛けがあるかは知ってるか?」
「そうですね……。実際に見てないから憶測でしかないのですが、一般的に宝箱の罠は警戒しといた方がいいですよ。昔から墓荒らしなどの類いは多かったみたいですし、そいつらからお墓に眠る宝を守るためにも、罠は必須ですからね。あとは、確かこっちの棚に……」
 ロズさんは腰を上げると、横にある本棚の中から一際ぼろぼろの本を取り出した。本を開き、パラパラとページをめくると、あるところで手を止める。そこには見たことのない文字がびっしりと書かれており、挿し絵なのか、古代の人間を模した絵や星をあしらった装飾品、金色で塗られた爪形の武器などが描かれていた。
「変わった絵だね♪   あとこれなんて読むの?」
 シーラが興味深そうにロズさんに尋ねる。
「古代文字ですね。僕も全部は読めませんが、どうやら古代のイシス王家の墓であるピラミッドに、棺と一緒にいろんな宝飾品も納めてたみたいですよ」
 そう言うと、ロズさんは次のページをめくる。今度は文字よりも絵の方が多く、太陽が昇る様子と、沈む様子があちこちに描かれている。
「?   どういう意味だろう?」
「さあ。このページの文面には『わが一族は常に太陽と共にあり』としか書かれてなくて」
「他にヒントになりそうな文献はないのか?」
「この本も、ピラミッドに関する情報はこのページで最後ですし、他に参考になる資料はないですね」
 ロズさんから絶望的な答えを聞かされ、一気にテンションが下がる一同。ふと気がついて窓の外を見ると、怪しい雲行きになってきた。雨でも降るのだろうか。
「おや、この時期にしては珍しいですね。スコールが来ますよ」
 するとほどなく、激しい音とともに大粒の雨が大量に降りだした。ロズさんによると、ここ砂漠地方ではたまにある現象らしい。
「雨がやむまで小一時間はかかると思いますが、どうされます?」
 離れから王宮までは幸い屋根があるので雨に打たれることはないが、城の外に出れば間違いなくびしょ濡れになるだろう。とはいえここにいてもこれ以上得られる情報はない。そうなるとーー。
「なら俺は女王のところに行ってみる。お前ら
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