第1部
アッサラーム〜イシス
イシスの女王
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、それはやりすぎだろう……。周りにいた私たちも思わず耳を塞いだが、間に合わず耳が若干キーンとしている。シーラなんか目回ってるし。
「はっ! 君たちは一体?!」
男性はユウリと私たちを交互に見ると、警戒心を露にしながら尋ねた。
「俺はアリアハンの勇者、ユウリだ。お前に聞きたいことがある」
いや、その言い方だと完全にこっちの分が悪いと思うんだけど。さっきの女王様との会話は幻だったのだろうか。
「ゆ、勇者!? あの、英雄オルテガの子供の?! な、なんでこんなところに?!」
「俺たちは今からピラミッドに行かなければならないのだが、情報が足りない。そこで、お前なら知ってると聞いて、わざわざ勇者である俺の方から出向いてやった」
「そ、それはどうも……」
流されないで! 教えてもらう立場として勇者のその対応はおかしいんだから!
「突然すいません。私たち、『魔法の鍵』がほしくて、ピラミッドに入りたいんです。女王様の許可も頂きました。ですが、そこには侵入者から守るための罠や仕掛けがあるみたいなんです。それで、なにか詳しい話を聞けたらいいなと思って、お邪魔させて頂きました」
不遜な態度のユウリを押しのけ、横から私が説明する。もはやこの流れが恒例行事となりつつあった。
事の経緯を説明すると、ようやく男性は納得したのか、落ち着いて話を聞いてくれた。
「これは失礼しました。僕はロズといいます。あなたたちのおっしゃるとおり、仕事でピラミッドの調査をしています。と言っても、最近は魔物の数も増えてきて、滅多にそこに足を運ぶことはないのですが……」
「ピラミッドの内部に入ったことはないのか?」
「いやあ、無理ですよ。まずここからピラミッドに向かうまでが大変ですからね。まあそれでも、どうしても実物を調査したくて、あるとき紹介所で戦士を二人雇ってようやくあそこの入り口まで行きましたけど、砂漠にいる魔物とはまた別の魔物が蔓延ってまして。その魔物を見た瞬間、雇った戦士二人が急に逃げ出しちゃったんです。聞いてみたら、金は払わなくていいから帰らせてくれと言ったんです。その時は仕方なくそのまま帰って来ちゃいましたよ」
そう言って、苦笑するロズさん。戦士が二人いて戦う前に逃げ出すなんて、一体どんな魔物と対峙したんだろう。
「その魔物がどんな姿だったか、わかるか?」
「確か、包帯巻いたゾンビと、大きなカエルがいましたよ。あとで調べましたが、そいつらはそれぞれミイラおとこと、大王ガマだったはずです」
ユウリが聞くと、ロズさんは今でも鮮明に覚えているのか、すらすらと話した。
「ミイラおとこに、大王ガマ……。なんとかなるか」
魔物の情報を聞いて、一人ぶつぶつと呟くユウリ。おそらく彼の
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