暁 〜小説投稿サイト〜
俺様勇者と武闘家日記
第1部
アッサラーム〜イシス
イシスの女王
[3/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
でしょう」
「では早速訪ねてみます。お気遣いありがとうございます」
「とんでもない。我が王家の所有地に魔物が蔓延っているだけでも厭わしいのです。それを一掃してくれるのなら、魔法の鍵だけでなく、そこにある宝もあなた方に差し上げますわ」
「いいのですか?」
「ええ。その代わり、またここへ来て、わたくしの話し相手になってくれませんか? あなたのように価値観の合う殿方がなかなか周りにいないのです。もしよろしければ用事を済ませたあと、またこちらにいらしてもらっても宜しいですか?」
「はい、構いませんが……」
「ありがとう。ではお待ちしていますわ」
 女王様はユウリとの約束をかわすと、誰もが見惚れるような笑みを浮かべた。
 それにしても、王家の宝までくれるなんて、女王様ってなんて寛大なんだろう。きっとそういう内面的なところも含めて、人々に好かれるんだろう。
 私たちは再び平伏すると、女王様の側近の人に考古学者がいる場所を教えてもらい、玉座の間を退室した。



「ユウリ、さっきはありがとう」
 考古学者がいるという、お城の離れに向かう途中、私は歩きながら、さっきユウリにフォローしてもらったお礼を言った。
 お礼を言われた張本人は私の方を向くと、蔑むような顔でため息を一つつく。
「お前が王族に意見するなんて百年早い」
 う……、そこまで言わなくてもいいのに。でも実際、ユウリのお陰であの場はなんとかごまかせたから、二の句は告げない。
 そうこうしてる間に、離れにたどり着いた。離れと言っても建物の作りはしっかりしていて、四方の壁に窓は一つ。部屋の中は余計な飾りや柱などは一切存在せず、本棚と机、砂漠の町では必需品の水瓶のみ。だが、何かを作業するには最適な空間となっていた。
 その部屋の机に向かって、なにやら分厚い本を見ながら、手元にある羊皮紙にペンを走らせている男性がいた。いや、よく見るとペンではなく、何やら小さい炭のようなもので何かを書いている。
 普段手入れしてないのか、無精髭が目立つ。あちこち白髪が入り交じっているが、意外にもまだ三十歳前後に見える。
 男性は私たちが声をかけても気づかないのか、ずっと机にかじりついたままだ。何度か呼んでいるのだが、こちらを見向きもしない。しびれをきらしたのか、急にユウリがずかずかと部屋に入り、男性のすぐそばまで行くと、息を大きく吸い込んだ。
『ピラミッドを調査してるのはお前か!?』
「わあぁぁぁっっっっ!!??」
 今まで一度も耳にしたことのないくらいの大音量で、ユウリが叫んだ。さすがの男性も、いきなり耳元で叫ばれて驚いたのか、体を大きく弾ませると、椅子に座ったまま後ろに倒れた。
 ガッターン!!
 いやいや
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ