第三章
[8]前話
そうしてお屋敷を建てはじめました、するとです。
あれよこれよという間に六十畳もの大きなお屋敷が建ちました、建てはじめて一日でとても大きなそして奇麗で立派な造りの屋敷が建ちました。
そのお屋敷を見てです、娘はテンゴに仰天して言いました。
「本当にですか」
「ああ、建てたぞ」
「凄いですね」
「これでいいな」
テンゴは驚く娘に笑って言いました。
「あんたはわしのな」
「はい、結婚してですね」
「奥さんにですね」
「なってくれるか」
「テンゴ様は約束を守ってくれました」
にこりとしてです、娘は大工の神様に答えました。
「それなら今度は私です」
「だからか」
「これから宜しくお願いします」
こう答えてでした。
娘はテンゴの奥さんになりました、ですが。
その後で弟子達がテンゴに言いました。
「テンゴ様、藁人形達ですが」
「どうしますか?」
「命を吹き込んだからな、もう生きているのなら」
それならとです、テンゴは弟子達に答えました。
「無闇に殺したら駄目だ」
「そうですよね」
「生きているのなら」
「それはよくないですね」
「あいつ等の思うところに暮らさせてやれ」
テンゴは弟子達に言いました。
「いいな」
「わかりました」
「それでは」
こうして藁人形達はそれぞれ山や川に行きました、そして以後そうした場所に暮らす様になりました。するとです。
藁人形達はやがて毛だらけの丸い身体でそこにお顔があり手足が生えたうえで頭の天辺にお皿がある姿になりました、そしてケンモンと呼ばれる様になりました。これがケンモンという妖怪のはじまりだと言われています。
テンゴは以後娘と夫婦になり幸せに暮らしました、そして今でも自分を助けてくれたケンモン達のことを忘れず大事にしています。沖縄の古いお話です。
テンゴの結婚 完
2020・3・20
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