第二章
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娘の前を去ってお家に帰ってからです、テンゴは頭を抱えてしまいました。それでこんなことを言いました。
「参った、一日でだ」
「六十畳の屋敷を建てるのか」
「そう約束したんだよ」
娘にとです、テンゴは父神に言いました。
「今さっき」
「馬鹿な約束をしたな」
父神もそのお話を聞いて呆れました。
「それはまた」
「どうしようか」
「どうしようもこうしようもないだろう」
父神は息子に言いました。
「お前があの娘と結婚したいならな」
「一日でか」
「屋敷を建てるしかないだろう」
六十畳ものそれをというのです。
「本当に」
「それしかないか」
「そうだ、大工の神でもな」
それでもというのです。
「お前一人なら無理だな」
「とてもな」
「それなら人手を用意しろ」
「人手か」
「そうだ、そうしろ」
「人手と言っても」
それでもとです、テンゴは父神に答えました。
「わしの弟子達を使ってもな」
「一日ではだな」
「六十畳もの屋敷は作れん」
「お前の弟子達の数ではな」
「もっと人手が必要だ」
「なら人手を作れ」
「人手を?」
「そうしろ、どうにかしてな」
こうテンゴに言うのでした、彼は父神のその言葉を受けてです。
あらためて考えました、そして少し考えてからです。
弟子達を集めて事情をお話したうえでこう言いました。
「今から藁人形を作るぞ」
「藁人形ですか」
「それをですか」
「そうだ、二千程作ってな」
そうしてというのです。
「その藁人形達に命を吹き込んで動かすんだ」
「そして家を建てる手伝いをさせますか」
「二千の藁人形達に」
「屋敷を建てる手伝いを」
「そうすれば六十畳の屋敷も一日で建つ」
それが出来るというのです。
「だからいいな」
「はい、それじゃあ」
「まずはですね」
「藁人形を作りますね」
「そうするぞ」
こう言ってでした、まずはです。
テンゴは弟子達と共に二千の藁人形を作ってその藁人形全てに命を吹き込みました、そして彼等に自分と弟子達の手伝いをさせてです。
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