第12話「We are ベストパートナー!!」
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やめぬ部下達を見続ければ、慎みも生まれよう」
巨乳と貧乳、組織を二つに割る争いは泥沼化していた。
二体の部下達は諍いを止めず、戦闘行為にまで発展するケースも散見された。
先日、二体がテイルドラゴンと引き分け、撤退してきた時など、どちらが足を引っ張ったのかで大変な騒ぎになったほどだ。
自分達についてきた部下達が、あたら無駄に命を散らしていくのを、これ以上見過ごす訳にはいかない。
更に、焦る理由はもう一つある。あの後、フェンリルギルディが行方不明になったのだ。
スタンドプレイも甚だしい若造であったが、実力は確かだった。それが忽然と姿を消した理由に、思い当たらぬ二体ではない。
すでに闇の処刑人は降臨し、自分たちの尻に火を点けているのかもしれない……。
「こうなれば、このまま出陣するのも手だが……」
「得策とは言えないだろう。まだ貴様も私も、触手ぶきの傷が完治していないのだからな……私には剣があるが、貴様は丸腰で挑むようなものだ」
クラーケギルディの触手は動かす度に、引き抜かれた箇所が痛むのか、動きにムラがあり、リヴァイアギルディの触手は振るたびに、風圧が火傷に響くようで、一瞬だが動きが鈍ってしまう。
「ならばこの拳でやりあうまでよ」
「お待ちください!」
二体のだけの会議室に入って来たのは、スワンギルディだった。
「なんだ若造?剣の一本でも振るっていろと言っただろう。それとも、この前の仕返しにでもやって来たか?」
「いえ、そのような愚かな事は決して。むしろ、あの時の恩返しに来たのです」
「恩返し、だと?」
そう言うとスワンギルディは二体に、傷を見せるように頼んだ。何をするつもりだ、と聞きながら傷を見せる二体に一言、失礼しますと言うとスワンギルディは深呼吸し、傷に手をかざした。
淡い黄緑色の光が、二体の傷を包み込む。光は数秒で消えてしまったが、二体の傷は消えてはいなかったものの、先程に比べると大分癒えていた。
「お前、今何を?」
「癒しの看病エンジェリー・ナースィング……かつて私が、医療班長せんせいから教わった技です。修行不足ゆえ、治癒力はあの人の足元にも及びませんが、せめてこれくらいはさせて下さい」
「先生だと?スワンギルディ、貴様の師はドラグギルディと聞いているが?」
首を傾げるクラーケギルディに、スワンギルディは懐かしむような顔で答える。
「はい、確かに私が弟子入りしたのはドラグギルディ様です。ですが私にはかつて、この部隊へ配属する前に出会い、憧れた恩師がいました。自分の属性に近しい属性を持っていた私に『剣だけでは部隊は支えられない』と、教えてくれた方。この技は、その思い出の一つです」
「そうか……
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