第12話「We are ベストパートナー!!」
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「え、ちょ!ちょっと!?」
待って近い!!変身したから身長差がかなり縮まってるから、普段より顔の位置が近い!!頭一つ分くらいの差が殆ど縮まって、この状態だと少し顔を傾けると……。
「千優さん……わたくしは……」
『あああああもうちょっとストップですよストップしてください今のはさすがの私でもこれ以上モニタリングしていたら口から砂糖が出そうですうぅぅぅぅ!!』
「……はっ!?あ、いえ、そ、その、い、今のハグには特に深い意味はなくてですね!!」
通信機から聞こえてきたトゥアールの悲鳴にも近い声に、抱き着いて数秒で慌てて離れる慧理那。
「お、おうだだ大丈夫だ問題ない!!」
あー、ドキドキした……50メートル走で全力疾走した直後以上に、心臓がバクバクしているのがよく分かる。あれ以上先に進んでいたらどうなっていただろうか……いや、今は考えないでおこう。途中から掻き消されていた羞恥心が今更戻って来てるし、今は心を落ち着かせよう。
『今の映像は最初から最後までキッチリブレ無しの高画質で撮影されてしまったわけだが、ヒーローC、そちらは?』
『ノイズ抜きの高音質で全て録音済みだ』
『グッジョブ!!よくやったわ2人とも!!』
フォンの向こうでは、おそらく俺があのセリフを言い始めたあたりで録画を開始したのであろうドクターと、案の定録音していたヒーローC、そして黒幕の未春さんがニヤニヤしている事だろう。これはあとで上映会こうかいしょけいかもしれない……。
「…………ヒロ兄……あんなセリフよく言い切ったわね……途中から遠まわしな告白に聞こえてきたじゃない!見てるこっちが恥ずかしかったわよ……」
「上出来……いや、もう完璧だったと思うよ……いつか、俺も使ってみたいくらい…………」
振り返るとすぐ背後で、当事者の俺達以上に茹で蛸みたいな真っ赤な顔をして、棒立ちで震えている妹分と、感動の涙に目頭を抑えながら親指を立ててサムズアップしている弟分がいた。言われてみると確かに今のは愛香の言う通りだったような気がする。ヤバイ、穴があったらしばらく篭もりたい。
『あ、それと伝えるのが遅れましたが、今ので慧理那さんのツインテール属性が急速に増大しました!これならちゃんと戦えるはずです!!』
「通信してくるならそっちを先に言えぇぇぇぇ!!」
ともあれ、どうやら成功したらしい。気恥ずかしさが残るが、これでようやくちゃんとした特訓ができる。
特訓の続きだ、と俺が言い出す前に慧理那が、気を取り直すように自分の頬を叩いてこちらへ向き直る。
「千優さん、もう一度勝負です!!」
「……ああもちろん受けて立つとも!第2ラウンド、ここからが本番だ!!」
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