第11話「I'm a テイルイエロー!!」
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トゥアールの方を見ると、不本意そうではあるが、しっかりと頷き、白衣のポケットに仕舞ってあった黄色いテイルブレスを、ヒロ兄に手渡した。
「……それじゃあ慧理那、最後の質問だ」
「は、はい……」
向かい合う師匠と弟子。自分たちと同じ「戦場」に立つことの覚悟を、ヒロ兄は問う。
「これは、俺達がテレビで見ているものとよく似ているが、本物の戦いだ。怪我もするかもしれないし、時には命の危険も伴う。それでも、お前はこのブレスちからを受け取るのか?途中で逃げ出さず、諦めず、人々の心と世界を守る。その覚悟は出来ているか?」
その問いに、会長は真っ直ぐな瞳と、その覚悟を秘めたツインテールで答える。
「無論、承知の上です。わたくしはヒーローに憧れ続け、今、その夢が叶うのです。後悔はしませんし、途中で投げ出すつもりもありません。師匠あなたの弟子として、ヒーローとしての責務を背負うつもりです!!」
数秒ほど、基地が静寂に包まれる。多分数秒くらいだったけど、何十秒にも感じられるほどの、静かな沈黙だった。
「……よし、いいだろう。それだけの覚悟があるのなら、俺は止めない。受け取れ、それはお前のテイルブレスだ」
ブレスを会長に手渡そうとするヒロ兄。
しかし、会長はゆっくりと首を横に振ると、ヒロ兄へと右腕を差し出してきた。
「お願いします、千優さん……はめて下さい。師匠に、はめて欲しいのです……」
口付けをせがむような、背伸びの上目遣い。頬を赤らめた会長の顔を、ヒロ兄はどのような気持ちで眺めていたのだろうか。
「あ──ー!!これやべ────これはやべーですよ────ー!!」
突如口から火でも吐くかのような勢いで絶叫したトゥアールが、地面を悶え転げ始めた。
「その外見とアンバランスな台詞!!なんとゆう破壊力!なんとゆうハートデストロイヤー!!私も現役時代にあの子に言わせておけばよかったー!!あと、私もあの時そう言えばよかったー!!『総二様、私がハメてあげますね』って言えばよかったー!!一ヶ月前の私を校閲したい!!」
なにやら聞いちゃいけない事口走りながら、遠心力で白衣の裾が地面につかないほどの猛烈な勢いでブレイクダンスを始めるトゥアールは、今は取り敢えずそっとしておこう。
『今いい所なんだから黙って大人しくしててくれないかなぁ……後でこの見苦しいシーンカットしたついでにGIFにしてやろう』
さて、話を戻す前に周囲を伺うと、愛香は頬を赤く染めて、二人の様子に釘付けになっている。
分からなくもない、俺も、見てて照れ臭くなって来ている。
そして桜川先生は羨ましがってるかな……、と思いきや、逆にこっちが驚く程の穏やかな表情で見守っている。まるで、結婚式を見守
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