第11話「I'm a テイルイエロー!!」
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……」
そのまま歩き出そうとする慧理那を尊は、その前に、と呼び止める。
「そのようなお顔では、皆さんに心配をかけてしまいます…………せめて、涙は拭いてください……」
尊から差し出されたハンカチを受け取り、頬を伝う涙を拭き取っていく。これが、彼女にとっては恐らく、人生初の、他人への叱責だった……。
それほどまでに彼女は、ヒーローが好きで、身近な人間の中で一番ヒーローに近しい性格を培い、その憧れを磨き、本物のヒーローになった千優が輝いて見えていたのだ。
□□□□
ツインテール部 部室内
弱々しくも、ややせっかちなノックの音。
俺が返事をするかしないかぐらいで、滑り込むようにして会長が入ってきた。
「っは、はあ、はあ…………お、お待たせしましたわ……少々、用事がありまし、て……」
「そ、そんなに急いで来なくても大丈夫だったのに……。ああ、とにかく座って。お茶でも…………って、もう淹れようとしている!?」
桜川先生が我が物顔で備品のティーセットを物色していた。妙な流し目を俺に寄越してくる。
「会長、ヒロ兄はどうだった?」
「千優さんは……その……」
何か言いづらそうに口ごもる会長。聞き出そうとすると、代わりに桜川先生が答えた。
「随分と腑抜けていたのでな。私から喝を入れておいたよ」
会長が何か言いたそうにしていたが、片手で制する桜川先生。
その鋭い眼光に、俺たちはそうですか、と納得することしかできなかった。
「そ、それより、早くテイルギアの説明をしてくれませんか?」
会長は椅子に座り、そわそわしながら期待に満ちた眼差しでこちらを見つめてくる。
その期待に応えるようにトゥアールは初めて変身した頃の俺達に説明する時にも使った、例の未来型説明キットを展開し、会長にテイルギアの概要を説明する。
聞き終えるや拳を放たれるほど愛香には不評だった長い説明も、会長は表情をとろけさせて聞き入っていた。
「トゥアールさん、このエクセリオンショウツの部分が空欄なのは……」
「二度目ですし、今回は実際に使ってみましょうか、ふふふふウボァ!!」
要約すると超科学オムツの機能を試させようと、危険な表情で会長に迫るトゥアールを、愛香が背後からの貫手で止めた。今回に限っては、俺も何とか止めようと思ったので、手段の是非はあれ、ファインプレイだと言いたい。
機能を適当にはぐらかすと、今度は別の質問が来る。
「変身するための掛け声はありまして?」
「か、掛け声……?一応、変身機構起動略語スタートアップワードは、テイルオンって決めてるよ。言っても言わなくても変身はできるけど、意識の集中に丁度いい
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