第11話「I'm a テイルイエロー!!」
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見慣れた二人組、二つのツインテール。テイルレッドとテイルブルーだ。もうこの先の展開は読めている。嫌になるほど鮮明に、浮かぶ最悪の光景。
全速力で走った。精一杯手を伸ばした。しかし俺が追い付くより先に、その手は振り上げられ……。
「やめろ……やめろおおおおお!!」
「千優さんしっかり!」
「落ち着けヒロ兄!!」
「ヒロ兄、ねえヒロ兄!!」
仲間たちの声に辺りを見回すと、いつもと変わらない秘密基地だ。気づけば体中、汗でぐっしょりと濡れてしまっている。
「千優さん、一体何が……」
「……ご、ごめんドクター……悪いけど俺、それは受け取れない!!」
背を向けて、走り出す俺。そう、俺は今、逃げ出したのだ。おそらく、人生で自分がこんなに無様だった瞬間は今まで無かったと思う。
それほどまでに、俺は………………怖かったのだ……。
「千優さん!!」
エレベーターに飛び乗った瞬間、背後から、俺を引き留めようとする慧理那の声が聞こえたが、俺はそれにすら耳を貸さなかった。エレベーターの扉が閉まる瞬間、一瞬だけ、扉の隙間から、慧理那が俺に伸ばしていた手が見えたが、その手は届くことがなく、分厚い扉に阻まれてしまった。
□□□□
エレベーターの扉が閉まり、床にへたり込む会長。
「……ヒロ兄……どうしちゃったんだろう……」
最初に口を開いたのは、愛香だった。
「分からない……どうして、ヒーローフォンを見た瞬間……」
「仲足の表情を見て察すると……あれは……」
「怯えていましたわ……」
会長の言うとおりだ。ヒーローフォンを受け取ろうとした瞬間から、どこか様子がおかしかったとは思っていたけど……。
「怯え……恐怖……もしかして千優くん、暴走して暴れまわったこと、気にしてるんじゃない?」
「暴走するのが怖い……そうゆう事でしょうね……」
母さんの指摘は、最も的を射ているだろう。
「……あんな千優さん、初めて見ましたわ……」
会長の言う通り、俺もあんなヒロ兄は初めてだ。俺の知っているヒロ兄なら、俺もまだまだだな、なんて言って、次こそ使いこなせるように、正しい使い方を模索すると思う。まだ小さかった頃の愛香や、愛香の爺さんに、何度負けてもチャレンジし続けたように。
「う〜む……どうするヒーローC?」
『俺はあいつの相棒だ。離れているわけにはいかない。第一、スマホがないと困るのは千優だからな』
「なら、後で彼の部屋に侵入して、枕元にでも置いてくるとしようか」
「ん、ふぁ……」
その時、床にへたり込んだ会長が、可愛らしい欠伸をして、体をふらつかせる。
「む、いかん、もう八時か。お嬢
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