第10話「明かされるcolors」
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急ぎで閉めると、ワゴン車は急発進する。
あっという間に角を曲がって見えなくなってしまった。
その瞬間、張り詰めていた気持ちが緩んだせいか、疲れがいっぺんに押し寄せて来て、地面に膝をつきそうになってしまった。
「ヒロ兄、大丈夫か?」
総二が駆け寄って来て、肩を貸す。
「悪い……手間かけさせちまったな……」
「気にするなよ……俺たち、仲間で兄弟みたいなものだろ?」
「ハハッ、そうだな……俺たちは仲間で、親友で、兄弟分……ありがとう、総二」
互いに笑い合い、拳を突き合わせる。
その時、顔が痒くなり、涙が出てきそうになる。
しまった、皮膚の痒みも戻ってきたのか!
「あぁぁぁ!かゆい!!」
「千優さん、お顔、ちょっといいですか?」
「ん?どうしたトゥアール?」
スプレーを仕舞ったトゥアールが、代わりに霧吹きのボトルを取り出す。
「ちょいと失礼しますね」
顔に霧吹きから水っぽい液体が噴射される。
一瞬にして顔からも痒みが消え、涙も止まった。
「トゥアール、今のは?」
「さっきの特性スプレーの中和剤です。うっかり自分で吸い込んじゃった時のために、一緒に作っておいたんですけど、もしかしたら市販のものにも効くかなーと思いまして。あ、一応念のために、後で洗顔しといてくださいね?」
抜かりないな……そして相変わらずたまに便利なもの作ってるんだな。
「あ、今失礼なこと考えていませんでしたか?」
「いや、別に。トゥアールもありがとな」
頭の上に手を乗せ、ポンポンと撫でる。
「ちょ!千優さん!乙女の髪を易々と触るもんじゃありません!!」
「お、おう……スマンつい癖で……」
「まったく……私の髪に触れてもいいのは総二様だけですからね!!ってゆうか千優さん、もはやツインテイルズわたしたちのお兄さんというより、保護者……お父さん的な感じなのでは?」
「そこまで歳とってないぞ俺は!!」
総二も笑ってるけど、俺はまだそこまで老けてないぞ!!
「あーあ、結局逃げられちゃったわね……ナンバーもガムテープで隠されてたし、手がかりなしかぁ……」
走り去るワゴン車を途中まで走って追いかけようとしていた愛香がこちらへ戻ってくる。
いや、もしも追いついたら、俺はそろそろお前が超人類への進化の道を辿っている事を疑わないといけなかったところだからな……。
「愛香もお疲れ。相変わらず技のキレが日に日に極みがかってきているんじゃないか?」
「そうかな?私としてはまだまだ先を目指したいんだけど……」
おっそろしい事いうなぁ……。
「ところでトゥアール……さっきのスプレーは誰用ですって
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