第8話「赤・蟹・襲・来」
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左腕を腰の位置へ。右腕を左斜め上方向へ伸ばし、右腕を円を描くようにして、右斜め上へもって行く慧理那。
「変身!」
そして右腕を腰の位置へ。左腕を右斜め上へ伸ばす。
特撮ファンに知らない者はいない、あの変身ポーズだ。
「ならば俺も……変──―身!」
対して千優は、彼が最も得意とする「キレ」が最大限に活きるポーズ……両拳をかまえてXを描くように動かし、右手を上にかざして太陽を掴むような動きをとると、手首を返しそのまま下に振り下ろすと、そのまま水平に左へ。今度は反動で右手を右下に回し、追っかけて左手を右上へ。左手が伸びたところへまた左に返して拳を握る。
「俺は太陽の子!!」
更にその流れで決めポーズと名乗りまで終える。
まあ、Tシャツ選びのついでにこんな感じで遊んでいたわけだ。
他のお客さんの迷惑にならないように声を抑えているが……気迫が凄いな。
なんかあの二人の周辺だけ別空間に見える。
それにしても、お互いに似合うTシャツがこんなんで決まるのだろうか……。
□□□□
都内 どこかの路地裏
「ごぶっ!」
蹴り飛ばされ、鼻血を出しながら壁に激突する先程のサングラスのチンピラ。
彼を蹴り飛ばした男は不機嫌そうに呟く。
「使えない。何故手を出さなかった?僕は指示通りに動けと言っただろう」
「そ、その事については申し訳ありません……」
血が出る鼻を抑えながら、グラサンのチンピラは先程とは打って変わって敬語で答える。
「し、しかし……あのガキ一筋縄じゃ行かない……俺たちじゃ勝てないですよ……」
「なら、3人……いや、2人で同時にかかればよかっただろう。1人やられた程度で、怖気付いて逃げ出しやがって」
男は、今度はネックレスのチンピラの方に向き直る。
「お前もだバカ!リーダーが怖気付いたからって、お前も逃げ出すのか?この臆病者め!」
「も、申し訳ございません!」
「今謝るくらいなら、さっきやり返すくらいできただろう!」
左頬を殴られ、ゴミバケツをひっくり返しながら転がるネックレスのチンピラ。
「む、無茶言わねえでくださいよ!」
堪らず叫んだのは、まだ股間を抑えているピアスのチンピラだ。
「直接一撃もらった俺には分かります……俺たち3人だけじゃ、あのガキには勝てません!下手したら本当に3手で全員やられていたと、断言できます!」
「根拠は?」
「あの無駄のない動きと股間じゃなくても当たればただじゃ済まないだろう蹴り……あいつ、多分結構レベルの高い格闘経験者です!」
「ふむ……なるほどね……」
指で眼鏡をかけなおしながら今度
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