第8話「赤・蟹・襲・来」
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Cの一言で悲鳴をあげるトゥアール。
怒らせた日の怖さが余程堪えているのだろう。
「別に、気にしなくてもいいんじゃないか?」
「……え?」
俺のつぶやきに、愛香が驚いたような声を上げる。
「俺は別に、そのままの愛香でいいと思う」
「ちょ、それどうゆう……」
「だからさ……俺には胸の大きさでの悩みなんて分からないけど……愛香はそのままでも充分可愛いだろって……」
なんか、藁にも縋る思いで巨乳属性を使おうとしている愛香を見ているとちょっとかわいそうに思えてきたのと、ここで諦めさせないと余計に惨めな事になると感じたのもある。
それにこんな時、ヒロ兄なら長所を褒めて励ますだろう。なら、代わりに俺がやるだけだ。
「そ、そーじ……「まあ愛香さんには届かない意見でしょうけdのっくあうと!」
せっかく愛香が立ち直りそうだったのに、台無しにしてしまうような発言をしたトゥアールに、一瞬にして決まる愛香の昇竜拳。
でも、ここまで動けるなら、もう立ち直ってるな、うん。
つか、日頃喧嘩ばかりしてるけど、この2人本当は仲良しなんじゃないか?
「それで、ヒロ兄は?」
『サラマンダーは帰ってきた時に置いてきたからな。今、神堂家の車で送ってもらってるところだ』
□□□□
神堂家車内
車はゆっくりと進んでいく。
後部座席で、わたくしは窓の外を眺めています。
反対側の座席には、先程合流した千優さんの姿が。
ですが彼は今、座席にもたれすやすやと寝息をたてています。
先ほどの戦いでの疲れと、車窓からの日光が心地よかったのでしょう。
戦士の休息、といったところでしょうか。
「…………」
ふと、千優さんの方へ目を向けると、今まで見たことのない表情をしていました。
普段は話しかけやすい柔和な表情。
テイルドラゴンとして、黒いコートに身を包み、サングラスをかけ、愛用している二対のダガー……ドラゴファングを構えた姿の時にはキリッとした、ヒーローに相応しい引き締まった表情。
そして今わたくしの目の前にあるのは……。
はっ、わたくしは何を見つめてしまっているのでしょう///
千優さんの寝顔ひとつに、こんなに熱心になってしまうなんて……。
……運転席の尊は……運転に集中してるようですわ。
少しくらい、寄っても……バレませんわよね?
少しづつ、少しづつ、間を積める。
千優さんの眠りを妨げるわけには行きませんので……起こさないよう、慎重に……。
残りあと15センチ程でしょうか?
ここまで来れば充分ですわよね。
シートから目の前に
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