第8話「赤・蟹・襲・来」
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そろそろ……きっと……」
何の疑いもなく、信頼に満ちた慧理那の瞳。
(そうだ……いつだって仲足あいつは……)
「貴女も一度、その身を以って知った筈です……」
(仲間ツインテイルズの危機を救う時も……お嬢様や観束たち、それに私を助けに来てくれた時も……)
「ようし、後ろを向かせい!!」
アルティロイドが左右から慧理那の肩を?み、よちよちと180度回転させる。
クラブギルディはハサミの腕で腕組みし、うんうんと満足そうに頷いた。
「な、何を見ているんですの!」
さすがに不気味に思ったのか、慧理那が毅然と問う。
「うなじに決まっておろう!!よいか、ツインテールにする以上、うなじが見えるは必然!美は相乗され、輝きを増す!!この素晴らしきWin−Winの関係を、俺はもっと多くの仲間に伝えたい!そしてお前たちにも分かって欲しいのだ!!」
エレメリアンお馴染みの世迷言である。
「あなたに教わることなどありませんっ!!」
そんな腐った世迷言を、正々堂々と切り捨てる慧理那。
「たわけ!男は背中で語り!女はうなじで語る!世界の理を知らぬとは、見た目だけでなく、知性も幼いか!!」
「なっ……わ、わたくしは……!」
これまで毅然としていた慧理那が、初めて動揺した表情を見せる。
「お前は高貴なツインテールだけでなく、更に我が主、クラーケギルディ様の求める貧乳属性まで備えているやもしれん!!お前は我らにとって理想的な程の属性を備えているのだ!!」
「おのれ化け物め、お嬢様への侮辱は許さんぞ!!」
「年増のうなじに用はない!!家に帰ってほうれい線対策に躍起になるがいい!!」
「私はまだ二十八だぞ!ふざけるな!!殺してやる!!」
ピンポイントな罵倒を受け、額に青筋を浮かべて抗議する尊。
だが、クラブギルディはその叫びにさえ意にも介さず、慧理那に近づく。
「さて、お前の属性力、いただくとしよう!!」
──―その瞬間、その場にいる全員の耳に笛の音が聞こえてきた。
「この音色……まさか!?」
某鉄道の保線作業員が日頃から自分の鎮魂歌として奏でるテーマ曲。そして、そのメロディーを奏でる音色は、まさしくドラゴファング!!
「随分と好き勝手言ってるみたいじゃねえか。大声だから、店内にまで聞こえてきてたぜ」
「テイルドラゴン!!やはり貴様か!!」
顔には新調したフォトンサングラス、いつもの黒いコートをなびかせ、手にはドラゴファングの片方を持ちながら近づく千優。
既に腰にはドライバーが巻かれている。
(やはり、いつも少し遅れたくらいの……尚且つギリギリのタイミングに……)
尊がそう考えている
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