第8話「赤・蟹・襲・来」
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手っ取り早く、安全なのだが……神堂家には、それができない理由がある。
歯痒かった。
外で待機していた部下たちが、尊のもとへ駆け寄ってきた。
「慧理那お嬢様を早く!ここは私が食い止める!!」
頼りの仲足はまだトイレから戻ってこない。
こうなれば、私がお嬢様を守るしかない、と慧理那を降ろした尊は怪人の前に立ちはだかる。
「我が名はクラブギルディ!ツインテール属性と常にともに在る麗しき属性力エレメーラ、項後属性ネープを後世に伝えるべく日夜邁進する探究者!」
「ネープ…………え!?うなじ!?」
「ほう、妙齢の女性、お主もツインテールを嗜むか!」
「妙齢言うな!」
尊の髪型は、ツインテールである。
ウェーブのかかったもこもこの髪を、頭長近くから背中に落とすようにまとめている。
怪人のいう通り、今年二十八歳になる尊にはいろいろ思うところもあるのだが、この髪型は、神堂家に仕える誓いを立てたその日から一度も変わらない、尊の誇りの一つだ。
それを馬鹿にされたのだから、黙ってはいられない。
「化け物め!貴様ごときに品定めされてたまるか!」
怒りをみなぎらせ、尊が果敢に挑む。
「いつもいつもお嬢様を狙いおって、もう我慢できん!!私が成敗してくれる!!」
人間の力や兵器じゃこいつらは倒せないといわれてはいたが、尊はもう我慢ならなかった。
メイド服はロングスカートでなければ紛い物だと主張する者もいる。だが、ミニスカートのフリルをはためかせ、鍛え抜かれた両の足で無数の蹴りを繰り出す尊の姿は、だれがどう見ても一流プロフェッショナルのメイドだった。
戦うため、主人を守るためにカスタマイズされたメイド服。
鉄の職業意識と鋼の忠誠心。
彼女はメイドの魂を身にまとっているのだ。
だが、クラブギルディは意にも介していない。
一流の格闘家と比べても遜色ない、尊の熟練の技でさえ怪人エレメリアンにダメージを与えることはできなかった。
逆に尊は足を押さえて蹲った。
「うぐっ……な、なんだこの硬さは……!?身体中が金属のように……硬い!」
クラブギルディは背中の甲羅どころか、柔らかそうな胴体を狙ってもびくともしない。
「きゃー!」
慧理那を庇っていた他のメイドから、アルティロイドが強引に慧理那を引き剥がす。
他のメイドに危害を加えられないようにと、慧理那が自ら進んで離れたのも原因だった。
「お嬢様!お逃げくださいっ!!」
尊も、隙を突かれてアルティロイドに取り押さえられ、身動きが取れなくなる。
「くっ、こいつら、こんなヒョロヒョロの身体でなんて力だ!」
「大丈夫ですわ尊。
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