第5話「想いの竜ーテイルドラゴンーその2」
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「いつから桜川先生の身体に取り憑いていたんだ……」
「ざっくり言うとこの前。具体的に言えばあのチーターが出現した日の午後だな」
確か、あの日から数日経っている。
その間ずっと桜川先生の体内に潜んでいたとは……。
「本来ならばもっと潜伏期間を経て行動したかった……が、お前たち二人が会う度に妬ましくてな、我慢出来なくなったんだ」
「俺達が……妬ましい?」
何故?そう聞く前に桜川先生の元に1人の男が近づき、耳打ちした。
「そうか……ならば私は1度戻ろう。私より先にテイルドラゴンが来たら迎え撃ち時間を稼げ」
「了解」
「その人は!?」
「私がネットで集めた忠実な部下たちだ」
倉庫の中をよく見まわしてみると、20人程人がいる事に気が付いた。
おそらく全員憑りつかれたのだろう、一人残らず目が死んでいるし、その手には鉄パイプやナイフが握られている。
「お前たちを奪還しにテイルドラゴンが向かっている……」
「え!?」
「奴め、罠だと分かっていながら向かってくるとはな」
まさか……こいつ潜伏中に俺達の正体に感づいたんじゃ……。
そう思うと冷や汗が出てきたが、先生の次の一言が俺の不安を一瞬で吹き飛ばした。
「身内でもない相手にここまでするとは……まあ、苦労してお前たちを誘拐してきた甲斐があったな」
「まさか、ヒロn……テイルドラゴンをおびき出せれば人質は誰でもよかったってこと!?」
不安は吹き飛んだが、逆に怒りがこみ上げてきた。
愛香の言う通りだ。まさか目的のために手段を択ばないとは……。
今までエレメリアンとは何回も戦ってきたが、こんな非道な奴はいなかった。
そこがジェラシェードとエレメリアンの大きな違いということだろう……。
「桜川先生……目を覚ましてください!!」
「そうよ……私たちの知ってる桜川先生はこんな奴に屈しない!!」
愛香も必死になって呼びかける。
「無駄だ、いくら叫んでもこいつには届かない」
「クソッ……」
「今のうちに遺言でも考えておくんだな……」
そう言うと桜川先生は倉庫を出て行った。
「……正体はばれていないみたいでホッとしたけど、このままじゃヒロ兄が……」
愛香が小声で話しかけてくる。
その声は少し震えていた。愛香も不安なんだろう。
「……ヒロ兄ならきっと大丈夫さ。絶対に俺達も……取り憑かれた桜川先生たちも助けてくれる……」
いつだってヒロ兄はそうだった。
俺達が困っていたら駆けつけて、解決してくれる。
きっと今回だって解決してくれる筈さ……。
「……そうだね。ヒロ兄は私たちのヒーロー
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