第二章
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葡萄酒も来た、だがペンテウスはそれは断った。
「酒は。王の務めを果たしている時なので」
「だからだね」
「折角ですが」
神の勧めだが、というのだ。
「お断りします」
「これがアンブロシアでも断るのかな」
ディオニュソスは彼に問うた。
「若しそうだとしても」
「はい」
ペンテウスの返事は生真面目なもののままだった。
「今は」
「王の務めを果たしている時だから」
「その時が終わればですが」
それでもというのだ。
「しかしです」
「今はだね」
「はい、それだけは」
「ではお水を飲むのかな」
まさかと思いつつだ、神は王に問うた。酒の神であるので飲むものはまさに酒だけであるからこう思ったのだ。
「君は」
「左様です」
返事は変わらなかった。
「ですから」
「ううむ、君は真面目過ぎないかな」
「王ですので」
「だからだね」
「はい、申し訳ありません」
「ならいいよ。では本題に入ろうか」
ペンテウスが言う乱痴気騒ぎのとだ、ディオニュソスは彼にチーズを勧めつつ話した。彼もそちらは受け取って口にする。
「そのことにね」
「はい、どうかです」
「飲んでだね」
「飲むまではいいです」
そこまではというのだ。
「夜に」
「昼は駄目なんだね」
「昼は働く時間です、常に」
「休みなくだね」
「昼ならば、そして飲んでからが問題で」
そこからだというのだ。
「騒いで歌って踊って挙句には」
「誰彼なくだね」
「交わるなぞ、あってはなりません」
「だから飲む位で止めて欲しい」
「夜に飲む位にしてくれましたら」
「それは真面目過ぎるね」
ディオニュソスは飲みつつペンテウスに応えた。
「君は休みの日はないのかい」
「ありません、昼に働きです」
そしてというのだ。
「夜に休めばいいではないですか」
「休む日はなくていいのだね」
「夜に休んでいます」
「ううむ、休む日があってもよくて」
そしてとだ、ディオニュソスは飲みつつさらに言った。
「そうした日はだよ」
「飲んで、ですか」
「昼いや朝から」
もうその時にというのだ。
「飲んで踊って歌ってね」
「騒いで、ですか」
「羽目を外すのもいいと思うがね」
「誰彼なく交わることも」
「君のお母さんも叔母さんもご主人とは死に別れているし」
「だからいいですか」
「僕がこの宴に入れているのは独身の男女だけだよ」
このこともだ、ディオニュソスは話した。そして今度は肉を食べる。簡単に焼いた牛の肉であり実に美味い。
「そうなんだよ」
「だからですか」
「そこで生涯の伴侶を見付ける意味もあるし」
「いいのですか」
「それに交わりで子供も出来るし」
「繁栄もですか」
「もたらす。いいと思
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