第一章
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ペンテウスへの悪戯
テーバイの若き王ペンテウスは酒の神ディオニュソスの信者達の行いを見て眉を顰めさせて言った。
「それはあまりにもな」
「酷いですか」
「そう言われますか」
「そうだ、酒を飲むのはいいが」
これはとだ、彼は玉座から家臣達に言った、青い目の光は澄んでいて赤髪は燃える様に癖が強く短い。引き締まった顎で長方形の顔の形をしている。長身ですらりとした身体だ。
「それでもだ」
「酔い過ぎて踊り狂ってですか」
「騒ぎそしてですか」
「淫らな所業に及ぶことは」
「ならない、私は飲むなとは言わない」
これはくれぐれもというのだ。
「しかしだ」
「それでもですね」
「乱れた所業はならない」
「そう言われますか」
「そうだ、それに母上や叔母上まで興じておられるとは」
ペンテウスは苦い顔でこうも言った。
「実にな」
「ならない」
「そうだというのですね」
「尚更」
「そうだ、ここはディオニュソス神にお話しよう」
今回の話の素である酒を司る神である彼にというのだ。
「すぐにな」
「そしてですか」
「そうした宴を止めてもらいたい」
「そうお願いしますか」
「神だから失礼なことはあってはならないが」
相手がそうした立場だからだというのだ。
「しかしな」
「それでもですね」
「流石に乱痴気騒ぎをされると」
「王としましては」
「母上や叔母上もご一緒なだけにな」
余計にとだ、ペンテウスは言ってだった。
そのうえで彼はディオニュソスの神殿、自国にあったそれに入った。神殿の中は聖なる場所だけあって乱れていなかったが。
神の座のディオニュソスは赤い顔をしていた、中性的で柔和な感じの美青年であり青い目は優し気で金髪は見事に巻いていて短い。その右手には杯がある。
その彼にだ、ペンテウスは恭しく膝を折って一礼してから話した。
「この度参上したのはです」
「わかっているよ」
ディオニュソスは笑って彼に返した。
「君の言いたいことは」
「はい、酒を飲むことはいいですが」
それでもとだ、彼は言うのだった。
「しかしです」
「飲んで騒ぐことはだね」
「それが過ぎます」
こう神に話した。
「ですから私もです」
「このテーバイの王としてだね」
「申し上げているのです」
「まあ堅苦しい話もよくないね」
ディオニュソスの方から言ってきた。
「だから卓を出そうか」
「卓に座ってですか」
「膝を剥き合わせてね」
「神とそうするなぞ恐縮です」
「ははは、僕はそうしたことにこだわらないよ」
ディオニュソスはペンテウスに笑って返した。
「だからね」
「ここは、ですか」
「そう、そうして話そう。嫌かな」
「神がそう言われる
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