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カーク・ターナーの憂鬱
第19話 青春
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話をたまたま掴めただけだ。
とは言えフレデリックはお調子者でもある。変な投資話につかまって、大損でもしたら、俺までターナーにキレられる。キレたこいつは、本気でやりあったら負けるとは思わないが、後が怖い。一度キレられて以来、ターナーを怒らせないのが、俺とフレデリックの暗黙のルールだ。

「ベルティーニ、ユルゲン様にボクシングを教えてくれたそうだな。だいぶお喜びだった。さすがに収容所仕込みの護身術を教える訳にもいないからな。またよろしく頼む」

「気にするな。少しは恩返ししないとな。誰かさんとの約束があるから、まずは自分の身位、守れるようになりたいそうだ」

ターナーの婚約者であるクリスティン嬢の弟、ユルゲン殿は、ウーラント家の跡取りだ。優秀な義兄の取り巻きとしてだろうが、俺にも尊敬の視線を向けてくれる。多少はそれに応えるのが、男ってもんだ。そんな話をしなががら各々勉強を進めていく、不得意科目の対策をしてくれるのは大抵ターナーだ。参考書と睨めっこしていても解決しない問題が、奴の解説を聞くだけですんなり頭に入る。
フラウローザスが夜食としてウーラント商会製の厚切りベーコンが添えられたカルボナーラを差し入れてくれるのは、もう少ししてからの事だ。あのままシロンにいたらこんなに楽しい日々はなかっただろう。たとえそれが士官学校という戦死の可能性が高い商売の入り口へ向かう道だとしてもだ。
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