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異伝 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(ヴァレンシュタイン伝)
帝国領侵攻作戦(その1)
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住民達を説得させよう。他に意見は有るか?」
意見は無かった。皆、晴れやかな表情をしている。

「無ければこれで会議は終了とする」
「……」
「ビッテンフェルト提督、良く私の過ちを指摘してくれた、礼を言う。ただ勝てば良いという勝ち方は私には許されぬのだな、肝に銘じよう」
「はっ」

それを機に元帥閣下が席を立ち会議室を出て行った。その後ろをオーベルシュタインが無表情に従う。二人が会議室を出て行くと自然と皆がトサカ頭の周囲に集まった。皆が笑顔で良くやってくれたと称賛したがトサカ頭だけが浮かない顔をしている。

「オーベルシュタインには気を付けることだ」
「……」
「あの男、平然と味方を切り捨てる作戦を考える癖があるようだ。味方を信用しないのだな、或いは誰も信用していないのか……。ゼークト提督を見捨てたのもそれが原因かもしれん」

皆が顔を見合わせた。ワーレンが戸惑いがちに声をかける。
「調べたのか?」
「うむ、イゼルローン要塞が奪われてから反乱軍がどう出てくるか、どう対応すべきか、俺の所の連中と検討してきた。その際参謀長がどう考えるかが問題になってな、ヴァレンシュタイン大佐がケスラー提督に為人を確認したのだが……」

トサカ頭が語尾を濁した。この男には珍しいことだ。ケスラーからの答えは決して芳しくなかったという事だろう。それにしてもこの男、反乱軍の動きを想定していたのか……。以前とは違う、トサカ頭などと軽視すべきではない。あるいはあの女が変えつつあるのか……。

「焦土作戦案もその時に出た、勝てるだろうが碌でもない結果になるだろうと思った。……俺達には敵が多すぎる。せめてこの中だけでも纏まるべきだと思うのだが……、上手くいかんものだ。……卿らも気を付けてくれ、そういう男が我々の参謀長になった……」
そう言うとビッテンフェルトは憂鬱そうな表情で会議室を出て行った。




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