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異伝 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(ヴァレンシュタイン伝)
帝国領侵攻作戦(その1)
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いる人間は居るのだ。俺も頷かざるを得ない。こいつ、魔符“お天気女”を装備したな。

「何より危険であります。焦土作戦を実施すれば反乱軍を撃破出来るかもしれません。しかし辺境星域の住民の恨みを帝国が、閣下が一身に負うことになります。政府は彼らを宥めるため閣下を罪に落とすことを考えるでしょう」
“馬鹿な”、“しかし”等と彼方此方でざわめきが起きた。元帥閣下は顔を強張らせオーベルシュタインはじっとトサカ頭を見ている。嫌な目付きだ。

「焦土作戦を実行すれば反乱軍は大きな損害を受けるでしょう。暫くの間軍事行動は不可能となるはずです。そうなった時、政府が、門閥貴族達が何を考えるか……。我々を用済みとして処断する可能性は高いと言わざるを得ません。我々の敵は反乱軍だけではないのです。辺境星域の住民を、味方を敵に回すような作戦は採るべきではありません」

トサカ頭が口を閉じると彼方此方で呻き声が聞こえ、そして会議室に沈黙が落ちた。皆沈痛な表情で考え込んでいる。そして時折チラッ、チラッと元帥閣下に視線を向けた。トサカ頭の言い分はもっともだ、焦土作戦を採るのは非常に危険だ。

元帥閣下もそれが分かっているのだろう、沈痛な表情で考え込んでいる。おそらくは他に反乱軍の補給を早期に破綻させる方法の有無についてだろう。反乱軍を引き摺り込んで戦うというのは間違っていないのだ。一体どうすれば良いのか……。

「辺境星域の住民を敵に回すのではなく味方に付けるべきだと思います」
またトサカ頭が妙な事を言い出した。ゲリラ活動でもさせると言うのか? あまり意味があるとも思えん……。俺と同じ思いだったのかもしれない、元帥閣下が“それはどういう意味か”と訝しげにトサカ頭に問いかけた。

「我々が彼らの食糧を奪うのではなく彼らに食糧を隠させるのです。その上で我らに食糧を奪われたと反乱軍に訴えさせます。そうすれば反乱軍は辺境星域の住民に食糧を提供するでしょう。早期に補給を破綻させることができます」
「なるほど、奪うのではなく隠させるのか」

元帥閣下が笑い出した。閣下だけではない、皆が顔を見合わせて笑い出した。言われてみればなるほどだ。何故こんな簡単なことに気付かなかったのか……。会議室の空気は一転して明るくなっていた。

「あらかじめ辺境星域の住民には帝国軍が必ず勝利を収める、だから協力しろと伝えます。協力も難しいことではありません、食糧を隠し反乱軍が来たら食糧を奪われたと泣きつくだけでよいのです。そうすればただで反乱軍から食糧が貰えるとなれば必ず協力してくれるでしょう」
ますます皆の笑い声が大きくなった。

「良いだろう、ビッテンフェルト提督の案を採ろう。焦土作戦を実施する、しかし食糧は徴発するのではなく隠させることとする。幸いケスラーが辺境星域にいる、彼に
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