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異伝 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(ヴァレンシュタイン伝)
帝国領侵攻作戦(その1)
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ともトサカ頭によればオーベルシュタインはかなり出来るらしい。トサカ頭はケスラーと親しいのだが、ケスラーとオーベルシュタインは士官学校で同期生だったそうだ。

元帥閣下が中央の席に来た、皆一斉に敬礼し閣下がそれに答礼する。礼の交換が終わり皆が席に着くと閣下が満足そうに我々を見渡した。どうやら機嫌が良いらしい。

「イゼルローン要塞を得た反乱軍が大規模な出兵を考えているそうだ」
閣下の言葉に皆が視線を交わす。ついに反乱軍が帝国領に侵攻するのか……、どうやら出陣のときが来たらしいな。しかし大規模な出兵か、一体どの程度の兵力なのか。

「艦艇数は十万隻、動員兵力は三千万人を超えるとのことだ」
彼方此方で嘆声が上がる。十万隻、三千万人、これほどの大兵力を動員するとは……、敵とはいえ感嘆せざるを得ない。

「我々に対して迎撃せよとの命令が出た。他の艦隊が儀礼用で使い物にならんというわけだ。武勲を挙げる良い機会だな」
閣下が不敵な笑みを浮かべると周囲から笑い声が起きた。ローエングラム元帥府に対する周囲の目は決して温かくはない。賤しい平民、下級貴族の集まりだ。しかし実力なら帝国随一だと我々全員が自負している。

隣にいるビッテンフェルトを見た、腕を組んで難しい顔をしている。妙だな、何か気にかかる事でもあるのか……。大将に昇進して以来、トサカ頭に対する貴族達の対応は露骨なまでに敵対的だ。本来なら誰よりも大きな笑い声を上げそうなものだが……。

「まず、反乱軍を何処で迎え撃つかだが」
「イゼルローン回廊の入り口付近は如何でしょう。反乱軍が出てくるところを集中して叩けます」
ミッターマイヤーらしい意見だ、攻撃重視だな。しかし悪い意見ではない、攻撃し易いし、上手くいけば反乱軍を早い段階で撤退させることが出来る。

ビッテンフェルトはまだ考え込んでいる、普通ならミッターマイヤーに同調しそうなものだが……。
「いや、むしろ反乱軍を帝国領奥深くまで引き摺り込んで戦うべきだ。反乱軍の補給を破綻させ、そこを撃つ。その方が大きく勝てるだろう」

元帥閣下の意見に二、三遣り取りがあったが最終的には皆納得した。
「しかし時間がかかりますな」
「我々は構いませんが門閥貴族達が騒ぎませんか」
ミッターマイヤーと俺の指摘に周囲から賛同する声が出た。杞憂とは言えまい、純粋に軍事的な観点ではなく馬鹿げた見栄や面子で決戦を強いられ敗北した軍は多いのだ。

「その心配はない。一ヵ月もしないうちに反乱軍の補給は破綻するはずだ」
一ヶ月? いくらなんでもそれは見積もりが甘いだろう。俺だけではない、皆が困惑したような顔をしている。そんな我々を見て元帥閣下が軽く笑い声を上げた。

「オーベルシュタイン、説明せよ」
「はっ、反乱軍は帝国の政治体制を誹謗し帝国臣
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