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異伝 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(ヴァレンシュタイン伝)
帝国領侵攻作戦(その1)
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ラー中将が時々大佐を妙に意識するのが気に入らん。どうも少しロリコンの気があるようだ。

暫く寛いでいるとTV電話の着信を知らせる呼び出し音が鳴った。ロイエンタールとミッターマイヤーが俺を見た。早く出ろ、ということだろう、それともお茶の時間を邪魔しやがって、か……。確かにお茶の時間に呼び出しとは無粋だが已むを得ん、緊急の用件かもしれん……。

受信するとキルヒアイス少将の顔が映った。
『ビッテンフェルト提督、そちらにロイエンタール提督、ミッターマイヤー提督はいらっしゃいますか』
「ああ、ここでお茶を飲んでいるが」
ブルーベリーのムースを食べているとは言わなかった。感謝しろ、二人とも。

キルヒアイス少将が俺の答えに頷いた。はて、この二人に用か、それとも俺達三人に用か……。ロイエンタールは表情を引き締めているがミッターマイヤーは名残惜しそうにブルーベリーのムースを見ている。ミッターマイヤー、お茶の時間はそろそろ終わりだ、正気に戻れ。

『先程、宇宙艦隊司令部より元帥閣下に連絡が入りました』
「……」
二人と顔を見合わせた。さすがにミッターマイヤーも表情を引き締めている。どうやら何かが起きたようだ。反乱軍に動きがあるとは聞いていない。またどこかの貴族が反乱でも起こしたか……。であれば今度こそキルヒアイス少将の出番だろう。

『イゼルローン要塞が陥落しました』
“まさか”、“馬鹿な”、“有り得ん”、我々が驚愕しているとスクリーンのキルヒアイス少将が首を横に振った。

『事実です。ゼークト提督は戦死、シュトックハウゼン要塞司令官は捕虜になったそうです。元帥閣下は情報の確認のため、宇宙艦隊司令部に赴いております。いずれこの件で閣下より呼び出しが有るかもしれません。本日はこちらから連絡があるまで待機をお願いします』
「了解した」

通信が切れるとしばらくの間沈黙が落ちた。三人で顔を見合わせている。
「コーヒーをもう一杯如何ですか」
沈黙を破ったのはヴァレンシュタイン大佐だった。穏やかな笑みを浮かべている。

イゼルローン要塞が陥落(おち)たのに全く動揺していないな、慌てたような声も出さなかった。見事なもんだ、外見からは想像できないが腹が据わっている。少しは俺も見習わなければ……。

「そうだな、貰おうか」
俺が大佐の誘いに答えるとロイエンタール、ミッターマイヤーも頷く。大佐が俺、ロイエンタール、ミッターマイヤーの順にコーヒーを注いだ。

「イゼルローン要塞が陥落(おち)るとはな、一体どんな策(て)を使ったのか……」
「うむ、気になるところだな。だが要塞が陥落(おち)たのが事実とすれば責任問題が発生するだろう。帝国軍三長官もただでは済むまい」

なるほど、この二人らしい感想だな。純粋に用兵家としての顔を見せる
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