ちいさなしまのおはなし
ちびっこの交流
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んだよー」
「……簡単なのでよかったら、俺が教えようか?」
「え、いいの?」
「つっても本当に簡単なのしか教えられねぇけど」
「私も教えてもらってるんだー。結構楽しいよ、賢くんも一緒にやろうよ!」
『えー、いいなぁ!ダイスケ、俺にも“えいご”って奴、教えてくれよ!』
『あ、ボクも〜!』
『ヒカリがやってるなら、アタシも!』
「あはは、楽しそう!みんなでやろうね!」
同い年で最年少、訳の分からない場所に突如として飛ばされ、右も左も分からないまま行く宛てもなく上級生達が彷徨い歩くのをただついていくことしかできない3人の会話は、どんどん脱線していく。
「お兄ちゃん、学校ではどう?」
久しぶりに会っても僕ばっかり喋ってるんだよーって、賢は頬を膨らませながら不満を漏らすと、大輔とヒカリはクスクス笑いながら教えてあげる。
「サッカー部の時の治さんしか知らないけど、サッカーしてる時の治さんってすっごくカッコイイよなー」
「うん、1番上手だよね!お兄ちゃんとツートップっていうの、やってるんだって」
「そっかー、じゃあ僕もサッカーしてみようかなぁ。僕も運動は好きだけど、クラブとか入ってないし……」
「いいじゃん、やろうぜ!そんで、いつか俺達んとこの学校のサッカー部と試合すんだ!」
「あ、それいい!試合の日は呼んでね。私とジュンちゃんで絶対見に行くから」
「え?ジュンちゃん?」
ヒカリが大輔のお姉ちゃんをちゃん付けで呼んだことに、賢はびっくりしてヒカリを見やる。
まだヒカリと知り合って日は浅いが、基本的に年上の人相手には「さん」付けで呼んでいるヒカリが、大輔のお姉さんに対して『ジュンちゃん』と呼んだのである。
理由は、簡単だった。
「私もね、最初はジュンさんって呼んでたの。でも慣れないからやめてって、呼び捨てでいいって。そんなの無理だって言ったら、じゃあせめてちゃんで呼んでって言われちゃった」
「そうなの?」
「俺も日本に帰ってきたばっかの時に、太一さんと治さんのこと呼び捨てにしちゃって、すっげー怒られたんだよなぁ」
あはは、って大輔は苦笑する。
アメリカでは会社や初対面、特殊な役職などについていないなど特別な理由でないに限り、相手が年上年下に関わらず呼び捨てである。
両親の方針で家でも英語漬けだった大輔は、お姉ちゃんのことだけは日本語で『お姉ちゃん』と呼んでいたが、それ以外はほぼ呼び捨てだった。
お姉ちゃんのアメリカ人の友達だって、呼び捨てで呼んでいたから、ついついその延長で太一や治のことも呼び捨てで呼んでしまったのである。
そんなアメリカ事情を知らない太一にしこたま怒られたことは、今でも鮮明に思い出せた。
あの時の太一さん、めっちゃ怖かった、って大人になっても言うほどには。
治とジュンが
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