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ナイン・レコード
ちいさなしまのおはなし
ちびっこの交流
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もいるけれど、それでも一緒にいる頻度が高いのは、お互いだった。
2人で一緒に太一が蹴るボールを追いかけて遊んだり、英語と日本語を教え合ったりするだけでなく、大輔はヒカリの調子が悪いと目敏く気づいて保健室に連れていくなり、太一に知らせるなりしてくれるのである。
頻繁に風邪をひいていたヒカリは、両親や兄に心配かけさせまいと具合が悪いのを上手に隠してしまう子で、気が付いたら悪化していた、というのはしょっちゅうだった。
それが大輔のお陰で、悪化する前に気付けて対処が出来るようになったのである。
大輔くん様様ね、とは太一の母の台詞だった。
つまり、お互いがいい具合にストッパーになったり、よき相棒になったりしているお陰で、何でも自分でやりたがる大輔が、上級生に混ざりたがって前に来るのを防いでいるのだ。
加えて、新しい友達の賢。賢は、大輔と違ってあまり前に出たがらない。
自分のことは自分で出来るものの、目立つことが嫌いなんだと治が言っていた。
天才少年・治によれば、賢も小学2年生にしてはなかなか賢い子らしい。
勉強も出来るし、スポーツも得意。でも治と一緒で、人が沢山いると奥に引っ込んでしまう子。
だからこそ、大輔は前に行かずにヒカリと賢と一緒に、敢えて上級生の後をついていく。
太一も大輔も、遅れている子がいると目敏く気づいてくれるのだが、太一は前で待っているタイプで、大輔は遅れている子の下へ行くタイプと、全く違う行動を取る。
何やってんだよ、早く来いよーって太一は待っていてくれるけれど、迎えには来てくれない。
前に出たがらない子の腕を引っ張って、押し出すのである。
反対に大輔は、どうしたーって遅れている子の下まで来てくれるけれど、待っていてくれない。
一緒に行こう、って隣を歩いてくれる。
それが如実に表れていた2日間だったが、慣れてくれば大輔も自分の本領を発揮し始めるだろう。
そして大輔が前に出ようとすれば、1番の仲良しのヒカリや友達になったばかりの賢も、それにつられて前に出てくる。
そろそろ我慢できなくなる頃だろうなぁ、って治は予想していたけれど、思っていた以上に早かったから、どうする?って太一に尋ねる。

「ここでダメって言ったって、聞くような大輔じゃないぞ……」
「だよなぁ……だからって3人で行かせるか?」
「でも見てよ、あの目……3人で行きますって言いたげなのが丸わかりよ……?」

5年生3人は額を寄せ合って話し合う。
目をキラキラさせながら太一達を見上げてくる下級生は、今までずっとお荷物だった分、役に立ちたいと言いたげなのが、嫌でも伝わってきた。

「いや、だから、ダメに決まってるだろう?何でそんな満更でもない表情しているのさ」

最年長の丈が断固として反対する中、5年生3人は乾いた笑みを浮かべて丈を見つ
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