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ナイン・レコード
ちいさなしまのおはなし
ちびっこの交流
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治の推測を聞いてから、人なんていないと絶望しきって、自分達で乗り越えるしか生き残る道はないのだと諦めていた子ども達の心に、希望の火が灯る。
立派な工場から立ち昇る黒煙を見るに、この工場は現在進行で稼働されている。
ならば工場を稼働させている“誰か”がいるはずだ。
はやる気持ちを抑えることが出来ず、疲労を見せていたはずの子ども達の足は自然と早まる。



無機質な金属の大きな壁は、見たことがない金属で、治と光子郎の好奇心を刺激する。
食い入るように壁を見つめている2人を引っ張って、子ども達は工場へと入っていった。
何かを叩きつけるような音がひっきりなしに聞こえ、金属で出来ている壁や建物に反響している。

「…う、おー!」
「すごーい!」
「おっきいねぇ、パタモン!」

2年生3人組が感嘆の声を上げる。
顔を上に向けると、聳え立つ建物に遮られて、空が凄く狭い。
つられて上を見たブイモン達も凄いなーとか言っていた。

「すみませーん!誰かいませんかー!?」

太一がありったけの声を張り上げて、稼働音に負けない音量で工場内にいるであろう人に聞こえるように叫んだが、返事が返ってくる気配が全くない。
おかしいな、と太一とアグモンは歩き出した。
子ども達も自然とついていく。
剥き出しになった歯車を横目で見ながら、太一達は更に奥へと入っていった。
内部へと通じるようなドアが、規則的に並んだ建物の彼方此方に見られる。
どうする?って子ども達は互いを見やった。
誰かが建てたとしか思えない構造物である、絶対に誰かがいるはずだと力説する丈と、重要施設っぽいのに外部から侵入してきた自分達の下に、ガードマンの1人すら駆けつけてこないのはおかしいと疑い始める治。
どちらの言い分も納得できるが故に、子ども達は迷っていた。

「何だよ、だったら探しに行きゃいいじゃん?ここでじっとしてたって、誰かが来てくれる保障もないんだろう?」

意見が分かれた時や迷った時、決断力や判断力がある者の意見が採用されることが多い。
例に漏れず、太一が迷っている子ども達に対してあっさりと提案し、他に案もないことから太一の意見を採用することにした子ども達は、何人かで別れて建物を散策することにした。

その班決めで、ちょっとした一悶着が起こる。
太一と治と空が中心になって、どの組み合わせでどう動くかと話し合っているのを聞いた大輔は、はい!と元気よく手を挙げた。

「俺、ヒカリちゃんと賢と、あとブイモン達で行きます!」
「ええっ!?」

何言ってるの、と慌てたのは最年長の丈だった。

「2年生だけでなんて、危ないよ!君達はまだ小さいんだから!」
「小さいからって、何もさせてもらえないなんて、やです!」
「そうだよ!誰かいないか、
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