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刹那



ぷつぅん……



突如として、空間を照らしていた電気が、切れた。
ギョッとなる光子郎に、テントモンはドアからお化け電池の外を見ると、外も真っ暗になっていると告げた。
この時、光子郎とテントモンは知らなかったのだが、光子郎が壁に書かれていた文字の一部を消したことにより、工場内総ての電力の供給が途絶え、停電してしまっていた。
ベルトコンベアを追って何の機械が出来上がるのかを観察していた治達のところも、最年少だけで行動していた大輔達のところも、そして今まさに大ピンチを迎えている太一達のところも、総て。
都合よく持っていたマジックペンを取り出し、消したところを書き込めば再び電気が点いたので、光子郎は安心して座り込み、背負っていたパソコンを取り出して膝に乗せ、立ち上げた。
何をしているのか、とテントモンが問えば、壁に書かれているプログラムを分析するのだと、楽しそうに答えた。
通常、電池は金属と溶液の化学反応によって電気を起こす。
だが今光子郎とテントモンがいる乾電池の内部は、光子郎が知っている電池の構造と全く異なり、壁に書かれた文字がエネルギーとなって電気を作り出しているのである。
電池がどういう仕組みで電気を起こしているのか興味が湧いて、一度分解したことがあった光子郎は、中身が空っぽにも関わらず動力源となっているお化け電池の構造が、気になって仕方がなかった。
壁に書かれた文字が電気を起こしている、という言葉にすれば単純な文章だが、それが如何に難しいことなのか、普段からパソコンのような電子機器に触れている光子郎にはよく分かっていた。
パソコンだって、ぱっと見た限りではそんなに複雑な形をしているとはいいがたい。
でも電源ボタンを押せばディスプレイが点くとか、キーボードを叩けば文字が打ち込めるとか、マウスを動かすとディスプレイの中の矢印の形をしたポインタが動くとか、一見簡単そうな操作だってパソコン内部の複雑な回路にプログラムされているから、可能になっているのだ。
太一が光子郎のパソコンを叩いた時に治が怒っていたのは、その回路が繋がっている個所がほんのちょっとズレただけで全く動かなくなる危険性があったからである。
治も光子郎ほどではないにしろパソコンにはそこそこ詳しいので、あの時珍しくあんなに怒っていたのだ。
そうだ、と光子郎は目を輝かせると、キーボードに指を滑らせた。
カチカチカチ、とキーボードが小気味いい音をたてて、空洞の乾電池の中で響き渡る。

『今度は何しはるんです?』
「このプログラムを分析してみるのさ。やっと僕のパソコンの出番ってわけだ!」












「……う、おおおお?」

道なりに真っ直ぐ突き進んで、目的をすっかり忘れてパートナーや友達とのお喋りに興
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