第一章
[2]次話
小さなヒーロー
藤田麻衣は茶色の毛を短くした優しい目の女の子だ、背は一六五ありスタイルはすらりとしている。
田舎に住んでいて通っている高校は歩いて行ける距離にある、それで毎日山道を歩いて登校していたが。
その中で茶色の毛のプードル犬、雄の彼と出会ってだった。彼が家についてきたので母の裕香に言った。
「犬がついてきたけれど」
「野良犬?」
「そうみたい」
こう自分を黒髪にした様な外見の母に話した。麻衣の髪の毛の色は父親譲りで他は母親に似ているのだ。
「誰かが捨てたのかしら」
「まだ山に犬捨てる人いるのね」
「悪いことする人がいるわね」
「ええ」
こう母に話した。
「本当にね」
「放っておけないわね、その子」
「どうするの?」
「里親探すか飼うか」
「うちで飼うの」
「放っておけないでしょ」
これが母の返事だった。
「だからね」
「それでなの」
「どっちにかにするわよ。というかね」
「というか?」
「捨てられたのはその子だけじゃないかも知れないわね」
母は娘に眉を顰めさせてこうも言った。
「そんな子がいるなら」
「他にもなの」
「だから番犬としてね」
「この子飼うの」
「ええ、プードルは小さいけれど」
だから格闘は弱いがというのだ。
「よく吠えるでしょ」
「だからなの」
「そのことはいいから」
だからだというのだ。
「番犬にもなるから」
「吠えると皆警戒するしね」
「プードルは番犬にもいいから」
警戒を知らせる役になるというのだ。
「だからね」
「この子飼うのね」
「お父さんにはお母さんからお話するわね」
「じゃあね」
「ええ、それじゃあね」
「この子飼うから」
こう言ってそうしてだった。
麻衣についてきた犬は家で飼われることになった、雄であり名前は麻衣がポッキーと名付けた。小屋も買ったが。
ポッキーは基本放し飼いでいつも庭を走り回っていた、麻衣はそのポッキーを見て地元の役場で働いている父の吉次公務員らしく七三分けにしている彼に言った。
「放し飼いにして大丈夫?」
「家から出るか」
「そうしない?」
「プードルはうちの家の壁飛び越えられないだろ」
コンクリートのそれを見て言う。
「だからな」
「大丈夫なの」
「ああ、だからな」
「ポッキーは基本小屋のところにつながないで」
「放し飼いにするな」
「そうするのね」
「必要な時はつなぐな」
そうするというのだ。
「だからな」
「このままいくのね」
「ああ、基本な」
こう娘に言うのだった。
「家から出さないならな」
「それでいいのね」
「それで散歩にもな」
そちらにもというのだ。
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