5.お泊りですよ
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昼寝なんて無かった様なものなんです。
しかしここで「眠いのか?」なんて聞いたら「だいじょうぶだよ」とか返ってきそうなので、欠伸をするふりをして、
「俺もう眠いから寝るけど、なのははどうする」
「……なのはも」
声に元気がない。フラフラと揺れるなのはの手を引っ張ってやりながらくすりと笑った。
母が新しくあけてくれた歯ブラシに子ども用の歯磨き粉をつけてなのはに渡し、自分の分も絞る。
「(しゃこしゃこしゃこしゃこ)」
「(……しゃ、こ…しゃこ………しゃ)」
ああもう半分寝てるじゃんこの子。ほらしっかりしろ。手を動かせ。だらしなく口をあけるな涎が垂れる。
妹の面倒を見るお兄ちゃんとはこんな感じなのだろうかと、俺は思った。結局俺が歯を磨いてやった。いや、小学一年生なら親にやってもらうものだっけ。
半分どころか四分の三くらい夢の世界へ旅立ってるなのはの背中を押して洗面所から連れ出し、昼もきた寝室へ。
気がつくと、窓の外から聞こえる音は随分小さくなっていた。コレは天気次第で、もしかしたら夜が明けきらないうちにお迎えが来るかもな、と考えながら布団に潜り込む。
すやすやと眠るなのはの寝息に俺も釣られるように瞼が重くなっていった。
本当に夜明けごろに高町一家はやってきた。
人の気配を感じて目覚めたら丁度我が父がなのはを抱き上げているところだったので大体察することができた。
玄関先に出ると桃子さんと母さんがぺこぺこと頭を下げあっていた。その隣では慎重に士郎さんへなのはが受け渡されていた。
最後は四人揃って我が家に頭を下げ、高町家は薄暗い街へと消えていった。……わざわざ全員で来なくても。
さ、帰って寝直そ。今日は休日だが、クラスの男子とサッカーをする予定なのだ。
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