目指せ全国編
4話 ずっとそんな野球をしてきたからさ……
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び止めた。
「ねえ、このあと自主連に付き合うてくれん?」
「いいよー。何するー?」
「ティーバッティングばお願い」
希と正美はグランドの隅にネットを出して、ティーバッティングを始めた。
「そんなんだー。私は普段強く振って、実践形式になったら6,7割で振るかなー」
「なるほど??????」
二人はバッティングについて話をしながら練習をしている。
ふと、希がバットを下げた。
「ねぇ、うち全国に行きたかっちゃん」
「おぉ、いいねー。目標は大きくなくちゃねー」
「やったらっ」
希は声を少し荒げる。
「なんで、本気でやきゅうしぇんと?うちには三輪さんみたいな足はなかし、あげん守備は出来ん。正直、嫉妬しとーばい。それだけ実力があるとに、なして全力でレギュラーば取りに行かんと???????三輪さんは一緒に全国ば目指してくれんと?」
太陽の光は既になく、証明の灯りだけが二人を照らしていた。
僅かな沈黙の後、正美は困ったように笑うと、握っていたボールをいじりながら口を開く。
「……私さ、今までずっとパパと同じチームで草野球やってたんだ。練習も楽しく、みんなそれぞれの体力に合わせてやって。試合も実力関係なく全員が出れるように回して。勝ったら祝杯、負けても残念だったねーって、笑って宴会をするんだ。ずっとそんな野球をしてきたからさ……今更、勝負の世界なんて分からないよ……」
夢に出てきたおじさんは負い目に感じる必要はないというが、今の正美には他にも理由があった。
「私がレギュラーになるには、誰かが控えに回らないといけないでしょ?さっきみたいな川崎さんをみちゃうと、ね」
正美の告白が終わると、彼女はボールを籠に戻して立ち上がる。
「あはっ。今日はもう終わりにしよっか。ボールは私が片付けとくねー」
正美はいつもの笑顔に戻るとボール籠を持って部室へ歩き出す。
「ばってん、うちは全国に行きたかよ??????」
希の言葉を受け、正美は一度、歩みを止めた。
「……そっかー」
正美はそれだけ答えると、振り向きもせず、再び足を動かした。
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