ビースト VS アナザーウィザード
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い人には見えないの! 人を蹴落としてまで自分のために動く人じゃないよね?」
まどかが何を言っても、ほむらの歩調も変わることはなかった。キャスターの隣に立ったほむらは、静かに自らのサーヴァントへ口を開く。
「キャスター。命令よ。消えなさい」
「命令とあらば」
キャスターはそのまま膝を折る。お辞儀したまま、彼女の姿が粒子となって消えていった。
サーヴァントの姿が消えてから、ほむらはゆっくりとハルトを向く。まどかを視界に入れないためか、首をほんの少しだけこちらに動かして。
「さっきサーヴァントの召喚方法を教えたのは、私自身が生き残るためよ。今後、貴方たちが私の前に立ったら、容赦なく排除するわ」
「……ほむらちゃん……」
ほむらは、そのまま闇の中に歩み去っていった。
「ほむらちゃん、やっぱりしばらく戦いを止めてくれそうにない?」
様子を見ていた響が尋ねる。ハルトは頷きながら、
「でも……いつか、分かってくれるまで、俺はほむらちゃんに訴え続けるよ」
「なら、まずは話をしないとね」
響はにっこりとほほ笑んだ。
「私たちで協力できる願いかもしれないし。もし聖杯に関係なく願いが叶ったら、ほむらちゃんだって戦いを止めるでしょ?」
「そうだね」
ほむらの願い。改めて考えても、ハルトには全く心当たりはなかった。
「あの、響さん……」
ハルトの後ろから、まどかが響のもとに駆け寄る。
「他の人、誰か襲われてないかな……? 学校全体がこうなっちゃったし、きっと誰かいると思うんだけど」
「チノちゃんたちは保護したよ。ほら」
響が、突き破った通路を指差す。壁の欠片に遮られているが、確かにチノの青い髪がチラリと見えた。
ハルトは、響に改めて頼んだ。
「響ちゃん。まどかちゃんやチノちゃんたちのこと、お願いしてもいい?」
「ハルトさんは?」
「俺は……」
ハルトは、左手のルビーの指輪を見下ろす。すでに魔力のないハルトにとってはただの宝石と成り果てたそれを、右手で強く握る。
「いるんだろ? あの……アサシンのマスターが」
「うん。ハルトさんの……あの、魔法使いみたいな姿になったよ」
「多分、俺が変身できなくなってるのもそれが原因だと思う」
「でも、どうするの?」
「取り戻すよ。ウィザードを」
「だったら私も……」
「いや、響ちゃんは、まどかちゃんをお願い」
不安そうな表情のまどかを指差す。
響はそれでも浮かない顔をしていたが、やがて「うーん」と声を上げた。
「アサシンのマスターは、あっちの方に行ったよ。コウスケさんもあとを追いかけたから、多分大丈夫だとは思うけど……気を付けてね」
「ああ。響ちゃんも。まどかちゃんもね」
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