全ての真実〜
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ったとすら思えるほど、可愛らしく、従順で、ただ一度の夫婦喧嘩すらもしたことがなかった。だが・・・共にこの世界に囚われたのち・・・彼女は変わってしまった・・・」
俺は拳を握り締める。何を言う気だ・・・
「強要されたデスゲームに怯え・・・恐れ、怯んだのは私だけだった。全てにおいてグリセルダ・・・いや、“ユウコ”は私を大きく上回っていた。そして私の反対を押しきり、ギルドを結成し、鍛え始めた。彼女は遥かに生き生きとし・・・充実した様子で・・・その様子を見ながら、私は認めざるを得なかった。私の愛したユウコは消えてしまったのだと。たとえゲームがクリアされ、現実世界に戻れる日が来ても、大人しく従順なユウコは永遠に戻ってこないのだと」
「な・・・」
一体・・・何を言ってるんだコイツは・・・!?
「・・・私の畏れが、君達に理解できるかな?もし現実世界に戻った時・・・ユウコに離婚を切り出されでもしたら・・・そんな屈辱に、私は耐えることができない。ならば・・・ならばいっそ、まだ私が彼女の夫であるあいだに。そして合法殺人が可能な、この世界にいる間に。ユウコを、永遠の思いでのなかに封じてしまいたいと願った私を・・・誰が責められるだろう・・・?」
俺は・・・何かが限界に達した。
「屈辱・・・?ふざけるな・・・ふざけるなよ・・・!変わったから・・・自分の理想じゃなくなったから殺した・・・?お前・・・お前ぇぇぇぇっ!!!」
方天画戟を握りしめ、走り出す・・・
「ダメ、咲!」
「いけません!」
・・・前に詠と亞莎が俺を止める。
「離せ!コイツは・・・この屑野郎はぁ・・・!!」
『咲さん、駄目ッス!』
「・・・そんな理由で大切な人を・・・グリセルダさんは・・・皆を助けようと強くなった筈なのに・・・それなのに・・・!」
俺はその場にしゃがみこんでしまう。
「そんな理由?違うな、充分すぎる理由だ。君にもいつか分かる、探偵君。愛情を手に入れ・・・それが失われようとしたときにね・・・」
「・・・!」
今度こそ我を忘れそうになった時・・・
「いいえ、間違っているのはあなたよ、グリムロックさん」
・・・アスナの言葉で踏み止まった。
「あなたがグリセルダさんに抱いていたのは愛情じゃない。ただの所有欲だわ。まだ愛してるというのなら、その手袋を脱いでみせなさい。グリセルダさんが殺されるその時まで決して外そうとしなかった指輪を、あなたはもう捨ててしまったのでしょう」
その言葉でグリムロックは沈黙する。・・・結局グリムロックの事は身内で判断することになり、元黄金林檎のメンバーは去っていく。
「咲・・・大丈夫?」
「ああ・・・はは。さっきは俺が心配してたのに・・・」
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