ちいさなしまのおはなし
夜の静寂に
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モン」
『……いいけど、もうしないでね』
ぎゅ、と治の腰にしがみ付いて、背中から覗き込むように言われると、罪悪感が太一の心に突き刺さる。
いや、あの、本当にすみません、ってバツが悪そうに謝るものだから、治はおかしくて吹き出してしまった。
笑うなよ。ごめんごめん。
昔から、この2人はこうだった。
性格も成績も全くの正反対、片やクラスの問題児、片や学校一の優等生。
普通なら相容れない存在だろうが、それが逆に功を奏したのか、2人はとても仲が良かった。
太一が暴走すれば治が抑え込み、治が引っ込んでしまえば太一が引っ張り出す。
お互いがお互いのいいところを上手く引き出しているのである。
そんなもんだから、教師も下手に2人を引き離すことが出来ずにいるのを、太一達は知らない。
「ふぁ〜あ……」
「………………」
「……むにゃ」
下級生がそろそろ限界のようだ。
見張りを立てた方がいい、という光子郎の意見を採用し、上級生の男の子達が順番を決める。
私もやろうか、って空が申し出てくれたけれど、チビ共頼むという太一の一言により空は引き下がった。
眠そうな下級生3人の手を引いて、空とミミは小島の路面電車へと乗り込んだ。
「あーあ、いつもならベッドで眠れるのに……」
「寝る所が見つかっただけでもありがたいと思わなきゃ。さ、寝ましょ」
空がミミを宥める。
子ども達はクッションの利いた座席に寝転がり、デジモン達は皆で集めた南国風の葉っぱをかき集めて、床に敷き詰めて寝床を作った。
一緒に寝なくていい?って空が尋ねると、こっちの方が落ち着くからってピヨモンは笑顔で答える。
『……………』
『……ブイモン?大丈夫?』
子ども達のおやすみなさいが飛び交う中、賢の隣を陣取ったパタモンがこっそりブイモンに尋ねる。
大輔はとっくに夢の中で、豪快な寝相を披露していた。
ヒカリも丸くなって横になっていたし、賢からも穏やかな寝息が聞こえる。
他の子ども達も、既に目を閉じていた。
だから、誰も聞いていない。
『……どうしたのよ?』
ヒカリの隣で眠りにつこうとしていたプロットモンが、ひそひそ話をしているブイモンとパタモンに気づいて割り込んできた。
だから、パタモンはプロットモンに話した。
ヒカリとプロットモンはガブモンとピヨモンと先に行っていたから知らなかった、賢とパタモンが合流した際に何があったのかを。
え、ってプロットモンの顔色が変わる。
『だ、大丈夫だったの?』
『うーん……大丈夫、ではなかった……?』
『……何で疑問形なのよ』
『だ、だって……』
『……びっくり、は、したんだけど……いつもと、違ったんだ』
先程、賢の手が偶然触れた、右手の甲。
違和感は拭えないし、まだ手が震え
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