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ナイン・レコード
ちいさなしまのおはなし
夜の静寂に
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人のために、アグモンが火を吐いてくれた。

「魚、釣れましたよ!」

光子郎と賢が釣れた魚を持って戻ってきた。
治は、弟から魚を受けとると、ミミのキャンプ道具から持ってきた小型のナイフで削った細い樹の棒に、魚をS字状に突き刺す。

「よし、こんなもんかな?さぁて、上手くできるかな……」

少し自信なさそうだったが、お兄ちゃんなら出来るよ、って弟が言ってくれたから、ありがとうって微笑む。
太一が、光子郎から受け取った魚を火の上であぶろうとしているのが見えて、治は苦笑した。

「太一、危ないよ。そんなことしたら。ほら、それ貸して。こっちの魚、火から少し離して地面に突き刺しておいて」
「お?おう、すげぇな治。これもお前調べたのか?」
「2日目に鮎釣りするってプリントにも書いてあっただろう?ま、網焼きだったのかもしれないけれど、念のため、な」

クスクスと笑う治に、太一は感心しきりである。
人数分釣り上げた魚を躊躇なく串に刺していく姿に、きっと図書館やパソコンで調べたんだろうなぁって思った。
どうすればいいのかな、って思ったことはきちんと調べるのである。
治が天才少年たる所以なのだが、その反面出来ないと思ったらあっさり引き下がる潔さも持ち合わせていた。
出来ないなりに躍起になっているところを見たことがない太一は、しかしそれに関して何か言うつもりは、今のところなかった。

「……あれ?大輔くんとヒカリちゃんは?」

役割を終えた賢が、次に何かやれることはないかと、皆を見渡していたら気づいた。
友達になった2人がいない。デジモン達も、何匹かはいるが、足りなかった。

「確かブイモンとプロットモンと……ガブモンとピヨモンもだったかな?樹に生えた果物取りに行っているはずだけど……」
「じゃあ僕も行ってくるね!」
『あ、ケン待ってぇ!』

丈が指さした方向に向かって、賢とパタモンは走り出す。
治は立ち上がりかけたが、デジモン達もいるから大丈夫だよ、という太一の言葉によって、再び腰を下ろした。



大輔とヒカリに割り当てられた役割は、自分のパートナー達と一緒に、樹に生っている果物を取りに行くことだった。
付近にも果物は沢山なってはいたのだが、ピヨモンの好物だと言っていた果物を太一が試しに食べてみたところ、酸っぱすぎて食えたものじゃない代物だったため、子ども達でも食べられるような果物はないかと探すことになったのである。
聞けば桃やリンゴ、ミカンのような果物も生っているようなので、子ども達が安堵したのは言うまでもない。
そんなに多くなくていいわよ、って空に言われたので、皆で手分けして大きな葉っぱを2枚もぎ取り、そこに置いて2人ずつぐらいで持ち運べるぐらいまでにしよう、って決めて大輔とヒカリはブイモン達に
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