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ナイン・レコード
ちいさなしまのおはなし
夜の静寂に
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たような夕日を見上げながら、一向は歩き続けた。
もうすぐ夜だ。このまま当てもなく彷徨うのが危険なことは、太一でも分かっている。
だからデジモン達に飲み水や食料が確保できそうな、安全な場所はないかと尋ねてみた。
尋ねてみるものだ、デジモン達はあると答えた。
もう少し歩けば広い湖があるらしい。
その湖なら魚も泳いでいるし飲み水として他のデジモン達も利用しているし、食べ物も豊富に実っているとのこと。
だったらそこに行かない手はないだろう、と子ども達の見解は一致した。
デジモン達を先頭にして、子ども達は湖を目指したのだったが……。

「もう疲れた…足が太くなっちゃう〜…」

最初に根を上げたのはミミだった。
今日1日だけで何度も走り回っていたせいもあるが、オシャレを優先して歩きやすさとか動きやすさを無視した服装は、これから始まるであろう大冒険にはとても不向きなものなのは明白だ。
サマーキャンプに来ただけなのに、どうしてまたそんな恰好をしてきたの、と誰もが疑問に思っていたが疲れを見せ始めている子ども達は誰も突っ込まない。
もう少し頑張れよ、と太一が励ますが、ミミはもうやだーとだたこね寸前である。
そんなミミにアグモンが余計なこと言ったから、ますますへそを曲げる。
脚は太い方がいい、なんて体重に敏感な女の子には絶対に言ってはならない言葉なのだが、そんな複雑な乙女心をデジモンが理解できるはずもなく。

『そーらー!見えてきたよー!』
『コウシロウはーん!あっちや、湖やでー!』

ピヨモンとテントモンが高い樹の枝まで飛んで、周りを見渡してくれたのはその時である。
降りてきた2匹が、こっちこっちって子ども達を先導する。
5分もしない内に、デジモン達が言っていた湖が見えてきた。
わあ、って漏れた声は安堵よりも驚愕に近かった。
と言うのも、湖に何故か電柱が建てられていたからである。
あの電柱も、よく見かけるタイプのものだった。
電話ボックスと言い、電柱といい、治によって異世界ではないかという結論が出た場所に、一体何だって自分達の世界でもよく見かけるものがあるのか。

「湖を水力として電気を起こして、誰かが使用しているとか……?」
「留まっている水じゃあ、電気は起こせないよ。水力発電は高い所から低い所に流れる時の位置エネルギーを利用しているんだから」
「それに、あの電線も水中に建っている電柱にしか繋がっていないようですよ」

治と光子郎の説明を聞いて、なぁんだ、って太一はがっかりする。
勉強嫌いの太一が水力発電のことを覚えていただけでも、褒めるべきことだろう。

「すごーい!大きな湖だね!」
「ねえ、大輔くん。湖って英語でなんて言うの?」
「湖?えーっと……pond?……じゃないな、この大きさだと。えーっと
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