”果てなき希望”
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「え?」
「もしアンタが、聖杯戦争に乗り気なら、俺は体張ってでも止める気だったからさ」
それを聞いたハルトは、どっと力が抜けた。立つのもままならなくなり、ふらふらとした足取りになる。
それを抑えたのが、ライダーの手だった。
「良かった。願いのために戦う奴じゃなくて」
「ライダー……」
ライダーはそのままハルトを立たせ、手を差し伸べる。
不思議とその瞬間から、ハルトは息苦しさを感じなくなっていた。
「一緒に、この聖杯戦争を止めようぜ。マスター」
「……ああ!」
ハルトは、力強く握り返す。息苦しい体内を、赤い希望が満たしていった。
そして、炎がかき消されていった。
伏せた顔を上げると、そこには、何一つ変わらない赤黒の空間が広がっていた。相変わらず不気味な闇が中学校を埋め尽くしており、『9』の文字が額に乗ったゾンビがいる。
否。空間には、変化が二つある。
一つ。赤い騎士、ライダー。
そしてもう一つ。
ライダーの周囲を旋回する、巨大なる赤い龍。
「な、なんじゃありゃあああああああああ?」
思わず上げてしまった大声。だが、それ以上の大音量である龍の咆哮にかき消されてしまった。
唖然とするハルトの肩を、ライダーがポンポンと叩く。
「俺は龍騎。仮面ライダー龍騎。真名は城戸真司。アンタは?」
「松菜ハルト。今は使えないけど、魔法使いだ」
「へえ、魔法使いか。すげえな」
ライダー、龍騎はそう言って、ハルトの背中を押す。
「さあ。急いでんだろ? ハルト。ここは俺に任せてくれ」
「ああ! まどかちゃん! ほむらちゃん! ここから離れよう!」
ハルトは、まどかたちのもとへ急ぐ。崩れそうなほむらを支え、奥の通路を指差した。
「ここは危険だから、移動しよう」
「あの人は?」
まどかが龍騎を警戒の眼差しで見つめる。
ハルトはまどかの反対側でほむらに肩を貸しながら、
「俺のサーヴァント、だって。よくわからないけど、味方みたいだから! それより、早く行こう!」
ハルトは先へ促す。まどかも迷い気に頷きながら、ほむらを引きずっていった。
だが、ハルトとまどかに体を預けているほむらは、じっと龍騎を睨んでいた。
「松菜ハルト。貴方のサーヴァントは……?」
「よくわからないけど、ライダーってサーヴァント。龍騎って名前だよ」
「龍騎……? 本名じゃないわね」
「何でもいい。今は、俺も君も戦えないんだ。サーヴァントに任せるしかない。頼んだよ!」
ハルトはそう言い残した。
「っしゃあ!」
去り際で、龍騎が口元で拳を作り、気合を入れるのが見えた。
そしてキュウべえは、どこにもいなくなっていた。
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