第14話 破滅への序曲
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ーク准将に怒声をあげていた。
「ワシは総司令官閣下に面談を求めたのだ。作戦参謀如きが呼ばれもせんのに出しゃばるな」
『どんな理由で面談をお求めですか?』
「貴官に話す必要は無い」
『ではお取り次ぎする訳にはいきません。どれほど地位の高い方であれ規則は遵守して頂きます』
「なに? 前線の各艦隊司令官は撤退を望んでおる。その件について総司令官のご了解を頂きたいのだ」
『ヤン中将は兎も角、勇敢を以って成るビュコック提督までが戦わずして撤退を主張なさるとは意外ですな。小官なら撤退などしません』
「そうか、では代わってやる。私はイゼルローン要塞に帰還する、貴官が代わって前線に来るがいい」
『出来もしないことを仰らないで下さい』
「不可能なことを言い立てるのは貴官の方だ! それも安全な場所から動かずにな」
『小官を侮辱なさるんですか!』
「貴官は、自己の才能を示すのに弁舌ではなく実績を以ってすべきだろう。他人に命令するようなことが自分には出来るかどうか、やってみたらどうだ!」
『…う……うう………』
「ん?」
『……うう………ああ』
「どうしたのだ?」
・・・・・
数分後、フォークは運ばれて行き、ビュコックの疑問に答えたのは総参謀長のグリーンヒル大将であった。
『提督、お見苦しいところをお目にかけました』
「どうしたのです彼は?」
『軍医の話によると、転換性ヒステリー症によって一時的に引き起こされる神経性の盲目だそうです』
「ヒステリー?」
『ええ、なんでも挫折感が異常な興奮を引き起こし、視神経が一時的に麻痺する病気だそうです。15分もすればまた見えるようになるそうですが、この先何度も発作が起きる可能性もありますので、フォーク准将休養ということになりましょう』
「ありがたい話ですな。ところで第十三艦隊から具申のあった撤退の件はいかがですかな? ワシは全面的に賛成しますぞ」
『しばらくお待ちください、総司令官閣下の御裁可が必要です』
「非礼を承知で申し上げるが、総司令官ロボス元帥閣下に直接お話しできるよう取り計らっていただけませんかな?」
『ロボス閣下は昼寝中です。敵襲以外は起こすなとのことですので、提督の要望は起床後にお伝えいたします』
「昼寝? ……はぁ〜〜よろしい、分かりました。この上は前線司令官として部下の生命に対する義務を遂行するまでです。ロボス閣下がお目覚めの節は、『良い夢がご覧になられましたか』とビュコックが気にしていたとお伝え願いましょう」
『提督……』
そこで、ビュコックは通信はプツッと切った。
* * *
――銀河帝国 帝都オーディン――
宇宙艦隊司令部に
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