四十 柔拳VS蛙組み手
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「性質変化?」
聞き慣れぬ単語に目をパチクリさせる。素っ頓狂な声を上げた彼女をフカサクは呆れたように仰いだ。
「なんじゃ?アカデミーで習わんかったかいのお?」
フカサクの言葉に「あ、あはは…」と渇いた笑いを零すナル。
太陽の下、病院から脱け出したばかりで未だ身を包む入院服。異様に白いそれを身に纏うナルの隣で、溜息まじりにフカサクは話を続けた。
「チャクラには基本、五つの性質変化があってな。ほとんどの者のチャクラがその内どれかの性質に適合しておる」
火・風・雷・土・水…――これら五つの『五大性質変化』は陰陽五行説に近いものがある。
風は火を激しく燃え上がらせ、火は灰となって土を生む。水は火を鎮め、土は水を呑み込み、水は雷の侵攻を許し、雷は土にて堰き止められる。
相生し、相克するこれらはそれぞれ優劣関係で繋がっている。故にお互いの力量が同じである場合、どちらが優勢に立つか劣勢に陥るかは性質変化が鍵となる。
「そこでナルちゃんがどのチャクラ性質か。それをまず見極めんといかんのじゃよ」
フカサクの話が終わる頃には、ナルの頭はショート寸前だった。ぷすぷす煙を立て、はてなのマークを頭上に浮かべる彼女へ、フカサクは一枚の紙を手渡した。
「とにかく。この紙でどのチャクラ性質に当て嵌まるかやってみんさい」
普通の紙ではなく、チャクラに反応する材質で作られた感応紙。チャクラを流し込む事で自身の性質変化を知り得るその特殊な紙を手にとる。
瞳を閉じてチャクラを流し込んだナルがおそるおそる目を開けると、真っ二つに切れた紙が彼女の視界に入った。
「『風』の性質じゃな。ちょうど良いわい」
得心がいったという風情で頷く。満足げな顔をするフカサクをナルは不思議そうに覗き込んだ。彼女の怪訝な視線に気づかないふりをしてフカサクが不意に話題を変える。
「ところでナルちゃんの対戦相手は日向一族の者じゃったな?」
「そ、そうだってば」
ふむ、と顎を緩やかに撫でる。暫し思案顔を浮かべていたフカサクだが、ややあって自身の推測を語り始めた。
「聞けば冷静沈着で厳格な性格なのじゃろ?そんな子が予選で手の内を全て曝け出すやろうか?」
ナルから対戦相手・日向ネジについて大体の話を聞いていた彼は、「憶測じゃが」と一言付け加えた。
「おそらく相手さんは最低あと一つ奥の手を持っていると考えたほうがええな」
「あの【八卦・六十四掌】より凄い技が…」
ごくりと生唾を呑み込む。考え込み始めたナルに、フカサクは彼女の不安を和らげるように声を上げた。
「その【八卦・六十四掌】を攻略する鍵となるのが、ナルちゃんのチャクラ性質じゃ。日向一族にとって最大の武器はその瞳術にある。じゃが、その眼に見えない攻撃が来たら…?」
「眼に見えない攻撃…?」
「常にナルちゃ
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