第二章
[8]前話
「この前くろ丸私にお礼くれたの」
「お礼?」
「猫のお礼?」
「そうなの、この前自分のお部屋で宿題していたら」
その時にというのだ。
「くろ丸がテーブルの上に上がってきたけれど」
「その時にお礼くれたの」
「そうなの」
こう母に話した。
「花瓶にあったカーネーションね」
「あれをなの」
「私にくれたの」
「そうだったの」
「普通猫のお礼ってね」
雪路もこの話は聞いていて知っていた。
「虫とか鼠よね」
「そうだぞ、猫は自分を可愛がってくれる人にお礼をする場合があるけれどな」
父が娘に話した。
「自分が狩ったものをな」
「お礼に出すのね」
「そうするんだ」
「そうよね」
「けれどな」
それがというのだ。
「くろ丸は赤ちゃんの時にうちに来てな」
「狩りとか知らないし」
「けれどな」
それでもというのだ。
「猫の本能はあってな」
「お礼をくれる」
「それで狩りはしないが」
「お花をお礼にくれたのね」
「そうだろうな」
こう娘に話した。
「多分にしてもな」
「そうなのね」
「それで雪路は見てどう思ったんだ?」
そのお礼をとだ、父は娘に微笑んで尋ねた。
「一体」
「嬉しかったわ、奇麗だったしねカーネーション」
娘は父の問いに笑顔で答えた。
「本当にね」
「そうか、ならよかったな」
「そう思うわ」
「そうね、くろ丸がうちに来てよかったわ」
母は微笑んで言った。
「お花のことで余計に思うわ」
「そうよね、じゃあこれからもくろ丸とね」
「楽しく暮らしていきましょう」
娘に明るく優しい笑顔で言った、そうしてだった。
母は今は花が咲いたサボテンの傍に寝そべっているくろ丸に笑顔で言った。
「くろ丸、これからも宜しくね」
「ニャア」
くろ丸は一声鳴いて応えた、一家はそのくろ丸を見てまた笑顔になった。
花が好きな猫 完
2020・7・20
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