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ナイン・レコード
ちいさなしまのおはなし
始まりの夏
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、って子ども達が混乱する間もなく、地平線の向こうから突如として現れたのは、何とここにあるはずのない大きな波だった。
ざぱーん、と立ち上がった大きな波に、子ども達は悲鳴を上げて反射的に回れ右をして逃げ出そうとした。
が、出来なかった。
何故なら立ち上がった波が縦に我、まるで見えない手に捕まれたかのように子ども達の身体が浮かび上がり、波の中へと吸い込んでいったからだ。

その後は、もう訳が分からない。

掴んできた見えない手が、今度は子ども達を放り投げてしまったかのように、子ども達の身体はグルグルと回転しながら波の奥へと誘われていく。
回転する身体を止めようにも、勢いがついた回転は止まらず、子ども達はされるがままだった。

大輔は、見た。

いつしか波が消えて、上下が斑の虹に染まり、ずっとずっと向こうに真っ白な光が差し込んでいる。
やがて斑の虹の天井と床が壁になって、暗闇に吸い込まれるように消えた代わりに、幾筋もの彩られた細長い光の線が走る。
光の線を置いてけぼりにするように、大輔の身体は暗闇へと放り出されて、そして──





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