どこかで会った、ような?
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だが、聖杯戦争の説明ばかりが浮かぶため、魔法少女というものに結びつかなかった。
キュウべえは首を振り、
『やれやれ。どうして君たち人間は、自分にとっての重要なことよりも、衝撃的な無関係を記憶に焼き付けるんだい? 非効率的じゃないか』
「それで……魔法少女って?」
「君のような、限られた少女だけが得る、願いを叶える権利さ。本来ならば聖杯戦争で勝ち残って手に入れる願いの権利を、君は無償で手に入れられる」
「それって……」
『言ったはずだ。君は、戦いを止められる。今、まさに倒されそうになっている暁美ほむらを助けることだってできる』
「ほむらちゃんを助けられるなら、私……!」
「まどか!」
ほむらが、悲鳴に近い声を上げた。地面に倒れ、コンバットナイフを首に突き立てられそうになっている彼女が、自身ではなく、まどかを心配していた。
「そいつの言葉に、耳を貸しちゃだめ!」
「でも……ほむらちゃんが……」
「私はいい! キュウべえの言葉を聞かないで!」
「でも……!」
『さあ、鹿目まどか。君の願いは何だい? 何でも叶えてあげる。聖杯戦争を止めるでも、暁美ほむらを助けるでも。君の才能ならば、どんな願いでも』
「私の、願いは……」
まどかが願う、まさにその時。
「だりゃ!」
何者かが、『9』を蹴り飛ばす。
ほむらが助かった。まどかの願いが消えた。
沈黙する、まどか、ほむら、『9』。ただ一人。キュウべえだけが、言葉を発した。
『……君か。死んだと聞いたけど、元気そうだね。……ウィザード』
「ハルトさん!」
それは、ラビットハウスで寝ているはずの松菜ハルトだった。いつものジャージ、いつもの服。だが、髪はボサボサで、目には隈が入っている。顔も蒼白で、今にも倒れそうだった。
「やあ。まどかちゃん」
そんな外見にも関わらず、ハルトは軽く、まどかへ声をかけた。
金魚のように口をパクパクとさせるまどかは、反射的に彼の腹へ視線を移す。
「ハルトさん……怪我は……?」
「ん? ああ。めっちゃ痛い」
ハルトは作り笑いをしながら、腹を抑える。見慣れた彼の服に一点、血がにじんでいるのは隠しようがなかった。
「でも、この惨状を見て放っておくのも無理な話でしょ」
この惨状。学校がこの空間に変異していることだろう。
理解はしたまどかは、ハルトとほむら、『9』を交互に見やる。
助かったほむらは、ゆっくりと立ち上がっていた。
「礼は言わないわよ。松菜ハルト」
「そうだろうね。君の中では、俺はまだ敵だからね」
「……どうして助けたの?」
「俺は人を守るために魔法使いやってるから。敵だからって、救える命を救えないなら、俺は何のために魔法使いになったんだっ
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