どこかで会った、ような?
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答えは、すぐに分かった。
「また……ゾンビ……」
今度は『9』。長い黒髪と左目の眼帯が特徴の女性型。それを見たほむらは、油断なく言った。
「また貴女ね。まさか、生きていたとは思わなかったわ」
すでにほむらには見知った顔のようだった。
『9』はしばらくほむらを睨み、やがて銃を取り出す。
ほむらと『9』。両者同時に駆け出し、銃撃戦が始まった。
拳銃という、現実味のある殺しのプロが、目の前で互いを撃ち殺そうとしている。まどかはほむらに引っ張られ、彼女の後ろからその一幕一幕の目撃者となっていた。
遮るもののない異空間で、まどかはほむらの左手を塞ぐお荷物になっていた。
「ほむらちゃん! 私は……」
「今は黙って!」
弾切れの拳銃を捨て、新たな銃を取り出す。それは『9』も同じで、まるで四次元ポケットを持ち歩いているようだった。その銃が切れれば今度はロケットランチャー(片手で)。さらに、マシンガンやらライフルやら。B級映画でしかお目にかかれない光景が、目の前で繰り広げられる。
やがて、らちが空かないと踏んだのか、『9』は銃ではなく、コンバットナイフでほむらに挑みかかる。
「っ……!」
ほむらはまどかを握る手を一瞬見下ろす。彼女の希望を察したまどかは手を放そうとするが、ほむらがそれを許さない。
「私はいいから!」
「ダメよ!」
「でも、ほむらちゃんが……」
「貴女を一人にはできない!」
ほむらは当然といわんばかりにコンバットナイフを掴み、『9』に応戦する。目の前で起こる火花に、まどかの顔が引きつる。
片手で、しかも動きも制限されるほむらが『9』に敵うはずもない。簡単に弾かれ、蹴り飛ばされた。
「ほむらちゃん!」
幸か不幸か。その拍子で、ほむらを握る手も離れた。自身という枷が外れたことに安堵する一方、『9』に追い詰められていくほむらに、まどかは悲鳴を上げる。
「ほむらちゃん!」
一度不利になった戦局は、簡単には覆らない。立ち上ったほむらは、『9』にどんどん追い詰められていった。
「そんな……私のせいで、ほむらちゃんが……どうすればいいの? 何か手は……」
『あるよ』
その時。希望とも絶望ともいえる声が、まどかの脳裏に響く。
見下ろせば、いつ来たのだろうか。キュウべえが、その無表情の眼差しで見上げていた。
『やあ。まどか』
「キュウべえ?」
『教会以来だね』
キュウべえは、愛らしく尻尾を振った。その無表情はいつ見ても、まどかにはうさん臭さを感じさせた。
『君は、ほむらを救いたいのだろう?』
「うん」
『先日、軽く触れた魔法少女のことは、覚えているかい?』
「えっと……」
まどかは記憶をたどる。
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