とある自由惑星同盟転生者の話 その2
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・・・
ヤンたちによる陽動作戦が成功し、混乱しつつある帝国軍に同盟軍は苛烈な砲火を加える。
これによって敵中央は大きく崩れかけているが、敵右翼部隊は堅固な守りを見せ中々しぶとい。
装甲の厚い戦艦を並べて防御壁を築き、その内側から小型艦で砲撃を加えてくる。
これは後にヤンが使う戦法だが……。
第三次ティアマトの時といい、敵の――それも1個艦隊を指揮できる立場に優秀な人物がいるようだな。
ラインハルト一党だけでも手に負えないのに……勘弁してくれよ。
「敵軍、総攻撃を仕掛けてきます!」
陽動作戦だと気づいた帝国軍は先程までの鬱憤を晴らすかのように、逆に総攻撃をかけてくる。
元々数で上回る帝国軍の大攻勢をこちらは支えきれない。
同盟軍の艦が次々に爆沈していく。
この第十二艦隊とウランフ中将の第十艦隊の奮闘でどうにか戦線を維持しているものの、他の艦隊は崩壊寸前だ。
おまけに、敵は艦隊を上下左右に伸ばして半包囲態勢を構築しつつある。
勝敗は決したかに見えた、そのとき。
1隻の同盟軍の戦艦がラインハルトの乗るブリュンヒルトの真下に張り付いた。
ヤン・ウェンリーの乗るユリシーズだ。
「あれは、陽動作戦を買って出た……名は、何と言ったかな?」
「ヤン・ウェンリー准将です。小官とは士官学校で同期でした」
「ほう」
「彼はエルファシルの英雄としても有名です」
「なるほど、エルファシルの奇跡はフロックでは無かったということか」
「ええ、おそらく1個艦隊の指揮も楽にこなすでしょう。もっとも、普段本人にやる気が見られないのが玉に瑕ですが」
ラインハルトを人質にとられた帝国軍は攻撃中止し、同盟軍は退却を開始する。
友軍が退却したのを見届けると、ユリシーズも戦場を離脱。
ここに、第四次ティアマト会戦は終結した。
・・・・・
俺は、戦場を横断中のラインハルト艦隊への攻撃を進言したことが評価され、少将への昇進が内定した。
昇進自体は嬉しいが、この後起こるであろうアスターテや帝国領侵攻のことを思うと胃が痛くなる。
どうにか原作の悲劇を回避できないものか……。
それと、第三次ティアマトと今回の第四次ティアマトで活躍したあの敵、旗艦がヴィルヘルミナ級の戦艦だったことからも、おそらく同一人物だろう。
原作には居なかった強敵……。
もしかしたら俺と同じように転生者なのか?
だとすれば、そいつの目的は何だ?
……結論の出ないことを考えていても仕方がないな。
今は、俺にできることをやろう。
* * *
これは星屑のように光る英雄たちの中の、小さな星たちの始まりに過ぎない。
本来の正史における英雄たちの戦いと、
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