第1部
アッサラーム〜イシス
砂漠の町
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まで聞かされて、何でオレだけ別行動させられなきゃならないんだよ!! 行くに決まってるだろ!!」
まるで一人だけ牢屋に入れられなきゃならない状況に陥ったんじゃないかというくらい、切羽詰まった表情で叫ぶナギ。いや、何もそこまで言ってないんだけど。
「それじゃ、帰ったらユウリに相談してみよう。もうユウリも宿屋に戻ってるよね」
話を強引に変えた私は、半ば興奮しているナギを落ち着かせたあと、トレーニングを切り上げた。と同時に、いつものナギに戻ったみたいなので内心ホッとする。そして結局そのまま一緒にナギと帰路に就くことにした。
気づくと、刺すような寒さはすっかり和らいでいた。 黄金色の朝日はすっかり町の屋根よりも高く上がり、私たちの歩く道を照らしてくれる。
宿に到着し、ドアノブに手をかけようとした途端、触れてもないのに勝手にそれが回りだし、同時にドアが私の目の前に吸い寄せられるように向かってきた。
どんっ!!
急に目の前が真っ暗になり、次いでお星さまが視界を遮った。後ろにいたナギが何やら騒いでいるが、額に現れた鈍痛に耐えるので精一杯で、何が起きたのか考える余裕などなかった。
目を瞬かせて見上げると、身なりを整えたユウリが立ちはだかっていた。
「何ぼーっと突っ立ってんだ。通れないから早くどけ」
「おい! その前にミオに謝るのが先だろ」
ナギが私の前に立ち、ユウリの進路を塞ぐ。不機嫌な顔のユウリは私たちを交互に見ると、眉間のシワをさらに増やした。
「そんなところに立ってるのが悪いんだろ。いいからそこをどけ」
「え、ちょっと待って! どこに行くの?」
「昨日言っただろ、イシスの女王に会いに行くって」
私が咄嗟に尋ねると、ユウリは鬱陶しげにいい放った。まずい、今言わないとユウリが行ってしまう。
「あのさ! さっきナギと話したんだけど、やっぱり皆でお城に行かない?」
額をさすりながら言う私に、心底うんざりした顔をする勇者。
「なんでお前らと一緒に? 別に女王に話を聞くくらい一人で行ける」
「だ、だってさ、昨日ずっと砂漠にいたし、ユウリも疲れたでしょ? 町での情報集めはあとで私たちがするからさ、お城から帰ったらユウリは休んでなよ。それに、万が一リーダーのユウリに何かあったらみんな心配するよ?」
「お前らがそんな繊細な心を持ってるとは思わないけどな」
にべもなく言い放つユウリ。
うう、なかなか手強い。しかもなにげに失礼なことを言っている。
やっぱりアッサラームでの一件から、私に対して怒ったままなんだろうか。でも、自分の何が悪いのかがわからないので、これ以上謝りようがない。
こ
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