第1部
アッサラーム〜イシス
砂漠の町
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る。
すると、いつになく真剣な面持ちで、私を見据えた。
「あと、もっと自分に自信持てよ。あいつに散々言われてるけど、お前がこのパーティにいなかったら、こんな風に呑気に旅なんて出来てなかったぞ」
ナギの予想外の発言に、私はしばし言葉を失う。
「お前はいわばこのパーティーの屋台骨だ。周りの骨を支える支柱がなけりゃバラバラになっちまう。そういう存在なんだよ、お前は」
その力強い口調に、思わず私の目頭が熱くなる。そう言ってくれる人が身近にいてくれて、失いかけていた自信が再び戻っていくのを感じる。
「どうした?」
「ううん、なんでもない。ありがとう。そう言ってくれて嬉しい」
涙を誤魔化すため、目に砂が入ったのを装いながら、私は笑った。けれど、もしかしたらナギには気づかれたかもしれない。なぜなら彼はあからさまに私から視線を外し、目新しいものもない街並みを眺めていたからだ。
いつもと様子が違うナギを見て、私の心の中にモヤモヤした気持ちが生まれる。顔色の悪い彼は心配する私に気づいたのか、すぐに話題を変えた。わざわざ人に話すことでもないことなのかもしれないが、教えてくれない以上、変に詮索しても余計相手に負担を与えるだけだ。私はすぐさま話題を変えてみる。
「ねえ、今日はやっぱり皆でお城に行ってみない?」
「? どうした急に」
城に行くのはあいつ一人だろ? とさらにナギは付け加える。彼の疑問は最もだ。けれど私は、何かに悩んでそうな二人を別行動させるのは不安と感じた私は、急遽提案をすることにした。
「そうなんだけどさ。ロマリアでユウリが王様になったの覚えてるよね? あのときみたいに、もしまた暴走して国の存亡に関わるようなことになったら大変だし、誰か止める人がいた方がいいと思うんだ」
とっさの言い訳だが、全くの嘘を言ってるつもりもない。実際ユウリが王様になったことでロマリアの経済は危うく破綻寸前になるところだったし、彼の物言い次第では、事態がどう転ぶか全く予想が出来ないのだ。
「おいおい、そりゃさすがに気にしすぎじゃねーか? あいつ、身分が上の人間に対しては割と常識的な行動するだろ」
「え、そうかな?」
言われてみれば確かに、初めてロマリアの王様に会ったときは、別人ですか?ってくらいまともに話していた気がする。
「そっか……。でもルカに聞いたんだけど、イシスの女王様って、絶世の美女って噂だよ。一般人でも気軽にお城に入れるらしいし、一度でいいからみてみたいと思わない? 」
「なんだって?」
絶世の美女と聞いて、急にナギの目の色が変わる。ビビアンさんはどうした、ビビアンさんは。
「それとも、ナギだけ別行動する?」
「バッカ野郎! そこ
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